経理・財務・会計ファイナンス人材のためのキャリア名鑑

会計人材のキャリア名鑑

非Big4系税理士法人のマネージャー

「実務経験に基づいた的確なアドバイスで、クライアントの課題を解決する現場リーダー」

チームの力を最大限に引き出し、クライアントの成長も加速させる

将来の税務キャリアの選択肢を広げる“核”となる経験が出来るポジション

主な業務内容

  • 税務・会計コンサルティング案件の主導
  • 重要クライアントの税務対応・プロジェクトリーダー業務
  • スタッフの育成・チームマネジメント

想定年収

600万円~1,100万円
※業績や評価によって変動

想定年齢

30歳~45歳

非Big4系税理士法人のマネージャーは こんな仕事

経営の意思決定に直接関わり、組織の中核としてプロジェクトチームを牽引するポジションです。中小企業・オーナー企業をはじめとして、多様なクライアントと多くの現場を経験し、知識・経験・マネジメント力すべてが発揮される立ち位置にあります。

非Big4系税理士法人のマネージャーは、スタッフの育成・管理を大きな役割としつつ、自身も高度な税務・会計コンサルティング案件を推進するマルチな日常を送ります。たとえば、スタッフから上がってくる相談への対応はもちろん、クライアントの経営層とデジタルイノベーションや事業承継、グループ再編、M&Aなどの戦略テーマにも深く携わります。税制改正やインボイス制度、消費税や国際税務の相談など、社会や法規制の変化にも即応し、知見をチームメンバーやクライアントへ分かりやすく還元できる、組織の知のハブとなります。

この立場では、リスク管理と意思決定力が常に要求されます。例えば、クライアントから寄せられる難解な節税提案依頼やグレーゾーンの税務処理には、多面的な論点整理や判例・国税当局の動向を徹底的に調べ、「正しく安全な道」と「ベストな提案」の両方をバランスよく示します。また、スタッフがミスや見落としをした際のチェック体制や再発防止プロセスの組み立てといった“責任あるリーダーシップ”が不可欠です。

業務の流れとしては、スタッフミーティングで日々の進捗状況を確認し、各メンバーの課題や成長を見守るほか、クライアントへの訪問、プロジェクト会議の進行、そして時には新規クライアント獲得・提案活動にも参画します。スピーディかつ高品質な仕事を求められる最前線で、知識・経験・人間性すべてを出し切る -そんなスリリングな現場となるでしょう。

中間管理職でありながら、組織の成長エンジンとなるポジションです。トッププレーヤーとしてのプライド、組織創造のやりがい、クライアントとの信頼関係構築の達成感。そのすべてを味わえるポジションと言えるでしょう。

非Big4系税理士法人のマネージャーという ポジションの魅力

非Big4系税理士法人のマネージャーは、最前線の専門職でありつつ、チームの司令塔として多くの人に大きな影響を与える存在です。ここで得られる成長スピードと社会的貢献度には、他のポジションでは味わえない醍醐味があります。

最大の特長は、多彩なクライアントに直接深く入り込み、税務・会計を超えた本質的な“経営支援”に関われる点です。全国の中堅・中小企業、スタートアップからファミリー企業まで、経営者と同じ目線で課題や未来に向き合い、戦略的なアドバイスや新規サービスを共創できます。ビッグファームの分業体制と異なり、現場の最終判断者として自ら意思決定を下し、クライアントの反応や成果をダイレクトに体感できる点は、ダイナミズムと達成感に満ちています。

また、組織成長を内部からリードする影響力も大きな魅力です。マネージャーはスタッフのロールモデルとなりながら、新人のフォロー、スキルアップ勉強会の企画、効率化の実現など、職場を活性化させる推進役となります。「自分の育てた部下が資格取得・昇進する」「新サービスを導入し業務改善に成功する」など、多くの人の人生やキャリアにポジティブな刺激と変化をもたらせます。

加えて、非Big4系のフラットな組織風土ではチャレンジ精神が奨励され、新たな領域(国際税務、M&A、事業承継分野など)への挑戦も比較的スピーディーです。自分なりの専門領域に磨きをかけつつ、経営に直結するダイナミックな仕事へも横断的に関われるため、ジェネラリストとしてもスペシャリストとしても成長可能です。

社会への貢献度も実感しやすく、地方経済の発展や中小企業の成長、個人の資産、後継者問題など、時にクライアントと「人生」の転機を共に乗り越えていく手応えがあります。

このように、非Big4系税理士法人マネージャーは“未来を切り拓く立場”として、大きな裁量と責任、そして前向きな熱量にあふれた日々を送れる魅力的なポジションです。

非Big4系税理士法人のマネージャーの 年間スケジュール例

ここでは「3月決算」「都市部の大手税理士法人勤務」を例に、マネージャーの年間業務スケジュールをまとめます。スタッフ管理・重要案件の進行、組織運営や新サービス立ち上げと、繁忙・閑散の波が大きいのが特徴です。

4月

  • 法人税・消費税申告案件の最終チェックおよびスタッフレビュー
  • クライアント向け決算報告会・経営課題ディスカッションの主導
  • 新年度目標のスタッフミーティング運営、育成方針設定

5月

  • 役員報酬確定届出・各種法定書類の確認・提出
  • 新規案件獲得営業(Webセミナー開催や紹介対応)
  • 新人スタッフ実務研修・メンター担当者への指導

6月

  • 住民税等申告・レビュー業務
  • クライアント財務分析レポート・経営改善提案書の作成・プレゼン
  • 夏期賞与計算・年次評価ミーティング

7月

  • 源泉所得税納付サポート・クライアントチェック
  • 業務効率化のための所内業務フロー再設計
  • 成長スタッフとの面談・定期フォローアップ

8月

  • 税務調査対応(過年度案件の仕込み・立会い)
  • インボイス制度・新法令の社内研修企画
  • プロジェクト型案件(組織再編等)の進行・クライアント調整

9月

  • 法人中間申告案件の進捗管理・指示出し
  • クライアント事業年度中間レビュー・アドバイス
  • 来期人事体制の見直し提案・教育計画立案

10月

  • 年末調整準備(業務分担決め・社内連絡)
  • クラウド会計、RPA等新サービス導入検討・試行
  • 業界勉強会・異業種交流会への参加・社外ネットワーク拡大

11月

  • 税務調査本対応、意見書・当局向け資料作成
  • 年末調整業務Q&A受付・業務進捗会議
  • 新人スタッフの本格案件アサイン・OJTサポート

12月

  • 年末調整ピーク、スタッフ進行フォロー・トラブル対応
  • 節税提案のカスタマイズ/冬期賞与査定・面談
  • 翌年度業務受託リストラップ、顧客フォロー強化

1月

  • 法定調書・給与支払報告書レビューおよび提出指示
  • 経営会議(月次・四半期)の準備・ファシリテーション
  • 既存大型案件の分析・来期戦略立案

2月

  • 確定申告ピーク目前、進捗チェック・人員配置調整
  • 各種顧問先への節税アドバイス・リスク点検
  • 業務効率化(IT導入等)の進捗モニタリング

3月

  • 確定申告案件の最終チェック・重点案件の直接対応
  • 次年度の組織目標・成果指標策定
  • 年度末打ち上げ・スタッフ表彰

定例業務

  • スタッフ管理・進捗ミーティング(週次)
  • クライアント訪問・経営者ヒアリング(随時)
  • 社内ナレッジ共有・業務フロー改善会議

臨時業務

  • 税務調査・イレギュラー対応
  • 新規クライアント提案プレゼン
  • 社外講師・セミナー登壇、メディア取材対応

非Big4系税理士法人のマネージャーの 重要任務

税理士法人のマネージャーは、専門職としての責任に加えて組織運営の中核を担います。3つの重要任務をピックアップし、それぞれ詳しく解説します。

1.スタッフ育成・チームマネジメント

人材育成はマネージャー最大の責務のひとつです。スタッフ一人ひとりの成長、得意分野・苦手分野を把握し、日常業務や案件配分を最適化します。面談やOJT、フィードバックを通じて、やる気を引き出し長所を伸ばすことで組織全体のレベルアップを図ります。資格取得や新たなスキル習得のサポートも積極的に行い、定着率向上や現場力向上に貢献します。

2.税務・会計コンサル案件の主導・重要案件の意思決定

税務調査や大型組織再編、M&A・事業承継設計など、多様で高度なコンサルティング案件をリーダーとして推進します。難解な論点整理やグレーゾーンの判断では、法令・判例・実務慣行を踏まえて最適解を導き出す必要があり、クライアントとの信頼関係も重要です。自ら最終責任者として意思決定し、スタッフ・クライアント双方に安心感を与えるポジションです。

3.組織の業務改善・新サービス推進

AI・クラウド化・RPAなど新技術の導入、業務フローの見直し、働き方改革への対応など、変化を先導し続ける役割も担います。現場からの課題提案をくみ上げ、改善プランを実行。新サービスや新規市場開拓の企画も組織を牽引するエンジンとなり、組織の競争力や魅力を高める要となります。

非Big4系税理士法人のマネージャーの 報酬水準

非Big4系税理士法人のマネージャーは、専門知識・経験だけでなく組織マネジメント力、営業力なども問われる分、スタッフ職より大幅に報酬水準が上昇します。以下、4つの観点で詳しく解説します。

報酬水準の概要

  • 年収レンジは600万円~1,100万円程度がボリュームゾーン(都市部・大手~中規模ファームの場合)
  • 給与構成は月給(40万円~70万円前後)+賞与年2回(業績・個人評価連動。合計で年収の2~4か月分)
  • 資格手当、担当クライアント数や独自プロジェクトの成果など特別インセンティブが支給されるケースも

報酬の構成要素

  • 基本給、賞与、役職手当(5万~10万円月額)
  • 資格・専門スキル手当(税理士登録者は月2万~5万円加算)
  • 残業手当・営業成果報酬(新規案件獲得・事業拡大による)
  • 福利厚生(各種保険、教育研修費、退職金制度など)

報酬の変動要因

  • 顧問先数や案件難易度(大口・上場子会社など担当で加算)
  • 税理士登録者、マネジメント経験、社内プロジェクト主導度合い
  • 売上・利益の目標達成度と、組織全体への貢献度
  • 所在地(都市部・地方)や法人規模でも上下1~2割程度変動

報酬のトレンド

  • 働き方改革・経営人材不足もあり、近年はベースアップ傾向
  • AI・IT対応、新規案件獲得やDX推進などプラス要素による賞与増
  • 業績への直接的貢献、資格取得+リーダーシップ発揮で報酬が大きく伸びる構造

例として、30代後半で税理士登録・マネージャーに昇格した場合、年収700〜950万円、営業力と専門スキル・プロジェクト成果によっては1,100万円超も十分可能です。自分次第でさらなる報酬成長が可能なポジションです。

非Big4系税理士法人のマネージャーの 代表的な会社

日本の非Big4系税理士法人は、多様な強み・特色を持つプロフェッショナルファームが全国に点在しています。ここでは代表的な5社をピックアップし、各社の特徴・業界内ポジションを紹介します。

1.辻・本郷税理士法人

全国に80拠点以上を展開し、従業員数も2,500名を超える日本最大級の税理士法人です。中堅企業向け実務に強みがあり、相続・資産税分野では業界屈指。IT活用も進み、クラウド会計やAI活用など先端分野の業務にも積極的です。

2.みらいコンサルティンググループ

会計・税務だけでなく、M&A、組織再編、経営コンサルティングや人事労務分野まで幅広く手がける複合型ファーム。全国主要都市にオフィスがあり、グローバルネットワーク企業との提携も特徴のひとつです。

3.TOMA税理士法人(TOMAコンサルタンツグループ)

中小・中堅企業の経営支援、事業承継、医療分野に強みをもつ総合ファームです。財務顧問や同グループ内の各種士業と連携し、クライアントの経営課題解決をトータルサポートする体制が整っています。

4.アタックスグループ

東京・名古屋・大阪拠点を中心とし、税務からコンサルティング、M&Aまでワンストップで提供。特に中堅・オーナー企業の税務アドバイス分野では業界トップクラスの実績を誇ります。

5.税理士法人山田&パートナーズ

全国主要都市に拠点をもつ大手独立系税理士法人。資産税、相続税、事業承継に圧倒的な強みがあり、大規模資産家・医業界にも深いネットワークをもちます。

 

これらの法人は「全国規模」を持ちつつも、きめ細かな顧客対応力・実務力に定評があります。個性や成長意欲に新しい風を吹き込む土壌がそろっているのが非Big4系税理士法人の魅力です。

非Big4系税理士法人のマネージャーに 向いている人は、どんな人?

■求められるマインド

1.リーダーシップ志向

困難な局面でも自信と覚悟を持って意思決定し、スタッフを牽引。一人ひとりの強みを生かして目標達成に導きます。日々の業務指示・フィードバックでも発揮されます。

2.課題発見・解決への野心

現状維持に満足せず、組織や業務の課題・ボトルネックに疑問をもち、改善案を自ら考え行動に移します。クライアント支援や所内フロー改革を推進します。

3.傾聴力・コミュニケーション力

クライアントのニーズ、スタッフの本音に耳を傾け、共感的なコミュニケーションを取ることで信頼・結束を生み出します。案件調整や面談シーンで不可欠です。

4.変化への適応力

税制・技術・社会環境の急速な変化にもフレキシブルに適応・学習でき、新しいスキルや業務に積極的に挑戦する姿勢。新法対応やIT導入時に重宝されます。

5.公正・倫理観

法令遵守と高い職業倫理観で組織をリード。グレーゾーン対応やトラブル発生時にも誠実な対処で信頼を勝ち取ります。

6.責任感と粘り強さ

多忙で過負荷な環境でも最後まで責任を持ち、スタッフやクライアントを諦めず支える姿勢。納期直前、難解案件対応シーンで重要となります。

7.顧客・組織双方へのサービス精神

クライアント第一、かつ所内メンバーの幸せや成長を同時に追求するホスピタリティ。「ありがとう」がモチベーション源になります。

マネージャーには複眼的思考、自己革新の意欲、そして仲間とともに未来へ進む情熱が求められます。組織の“旗手”となりたい方に最適です。

 

■必要なスキル

1.専門的な税務・会計知識と実務経験

法人税・所得税・消費税含む幅広い税制、国際案件や組織再編等の高度な税務スキル。スタッフ相談や重要案件の主導で必須。

2.マネジメント力・育成スキル

人事管理、OJT設計、チームビルディング、評価・フィードバックのノウハウ。チーム全体の成長を実現する基盤です。

3.コンサルティング&提案力

クライアント課題の本質を見抜き、最適提案をロジカルに打ち出す力。大型案件や差別化サービス展開で活きます。

4.柔軟な調整・交渉力

複数案件・他部門・各士業や外部パートナー調整、納期・リソースの最適配分。イレギュラー時には“司令塔”の立ち回りが必要。

5.ITリテラシー・業務改革スキル

クラウド会計、RPA活用、業務フロー可視化・改善ノウハウ。組織競争力の底上げに直結します。

6.数値・計画管理力

予実管理、PL/BS分析、予算作成・KPI設計と進捗管理。組織運営と案件収益性向上の指標となります。

7.法令・社会動向分析力

税制改正、社外環境の把握と対応策の設計。リスク管理や新規サービス推進で欠かせないスキルです。

高い専門性・判断力と、組織・人を率いるソフトスキルの両方が不可欠。多様なスキルを融合し、変革ドライバーとして活躍できます。

非Big4系税理士法人のマネージャーまでの 道のり

マネージャーになるには多様なキャリアパスがあります。

直前ポジション

  • 主任・シニアスタッフ(案件リーダー職)
  • 税務コンサルタント(高度案件経験者)
  • 中小企業経理部門管理職(会計事務所からの転職)

その手前にあり得るキャリア

  • 税理士法人のジュニアスタッフ(税務申告・基本コンサル経験)
  • 会計事務所勤め経験者、ないし事業会社での財務・税務担当者
  • 他士業事務所(社会保険労務士、行政書士等)での実務経験からの転職

複線的なパス

  • 監査法人やコンサルティングファームからの中途採用
  • 経営コンサル分野やIT/DXベンチャー、金融機関からのキャリアチェンジ
  • 社内昇進(スタッフ→シニア→マネージャー等)

税理士資格や科目合格は大きな武器ですが、スタッフ時代から「マネジメント意識」「提案型思考」を心掛けて現場経験・人のマネジメント経験を積んでおくことが、最大の近道です。

「多様な現場経験」「専門力の獲得」「人材育成・チーム運営の機会」-この3つを意識してキャリアを積むことで、誰もがマネージャーを目指せます。

非Big4系税理士法人のマネージャーの キャリアパスの展望

マネージャーで得られる「案件主導力」「人と組織を動かすスキル」「経営視点」は、その先のキャリアにも圧倒的なアドバンテージとなります。税理士法人内ではマネージャーからシニアマネージャー、パートナー・役員昇格への道がひらけ、より高度な案件・会社経営全体に関わることが可能になります。

一方で、手にした専門知識・マネジメントスキルは業界外にも強く通用します。

  • 他士業連携を活かしたコンサルティング会社やM&A仲介会社へのキャリアチェンジ
  • 経営企画・財務幹部として一般事業会社への転職(CFO候補など)
  • 独立開業、税理士法人の新規立ち上げ
  • 上場企業の社外取締役、公的機関での専門委員など社会的地位のあるポジション

将来性・専門性ともに高いキャリアの“ハブ”となるのがマネージャー職です。“経験”と“実績”が、あなたに無限の可能性を与え続けます。

まとめ

役割と責任

  • チームやスタッフの育成から、高度税務案件の推進、組織運営まで幅広く担当
  • クライアントの経営パートナーとして意思決定をリード

求められるマインドやスキル

  • リーダーシップ、課題発見力、専門性、コミュニケーション力、IT活用、業務改善力

重要な職務

  • スタッフ育成・チームマネジメント
  • 税務・会計コンサル案件の主導・重要案件の意思決定
  • 組織の業務改善・新サービス推進

キャリアパス

  • 税理士法人内のキャリアアップ:シニアマネージャー⇒パートナー
  • 監査法人やコンサルティングファームからの転身
  • 将来的に他分野へのキャリアチェンジや税理士事務所の独立企業などの多様なキャリアパス