経理・財務・会計ファイナンス人材のためのキャリア名鑑
経営判断の土台となる正確な数字を迅速に提供
経営陣と距離が近く、業務範囲が広いスピード感ある環境
350万円~600万円
※業績や評価によって変動
22歳~30歳
スタートアップ企業の経理部スタッフは、会社の資金を適切に管理し、健全な財務基盤を築くという使命を担う経理部内でのプレイヤーとして活躍します。スタートアップ企業の特徴としては、業務範囲が広く、会社の成長を直接的に支える実感を得やすいという点が挙げられます。
たとえば日次業務では、伝票の整理や請求書の管理を行い、会社の資金繰りをスムーズに保つことが重要です。月次や年次決算のサポートでは、財務データの整理を行い、経理業務が正確で効率的に進むようにします。資金管理の補助業務では、キャッシュフローを把握しつつ、会社の成長に必要な予算を調整します。こうした日々の業務を行うことで、会社の運営を裏側から支え、自分の仕事が直接企業の未来に影響するという達成感や責任感が得られます。
数字やデータを処理するだけではなく、成長企業であるがゆえに、予算計画や支出管理、さらに時には投資家への財務情報の提供に関わることもあります。こうした活動を通じて、経理の基礎を習得しながらも、会社の運営全体を俯瞰する視点を養うことが可能です。
また、スタートアップ企業では少人数制が一般的なので、チームとしての結束力を高めながら取り組む機会が多いでしょう。経営陣との距離が近く、自分の提案が企業の戦略に影響を与えることがあるのも、この環境ならではの魅力です。
未経験者でも簿記などの基礎スキルを磨きつつ、柔軟な思考で業務を進行するマインドがあれば挑戦することが可能です。経理のプロフェッショナルとして成長し、将来的にはチームリーダーやCFOといったキャリアパスを描くことも可能です。
スタートアップ企業の経理部スタッフというポジションは、日々の業務を通じて会社の成長を支える重要な役割を担える職種です。その一番の魅力は、会社の変化と伸びしろを肌で感じながら働けることです。特にスタートアップ企業では、経理がバックオフィス業務として範囲を限定されるのではなく、会社運営の根幹に関わる重要なポジションとなりやすいです。
まず、スピード感のある環境が大きな特徴です。事業の展開が早いスタートアップでは、予算計画や資金繰りに素早い対応が求められます。このポジションでは経理の基礎をしっかりと学びながら、意思決定に近い業務に関わることでスキルアップが可能です。さらに、経営陣や他部門とのコミュニケーションが日常的に行われるため、経理の枠を越えた広い視野を養うことができます。
また、経理部スタッフは業績データや財務の現状をリアルタイムで把握するため、自身の仕事が直接的に会社の成長に繋がる手応えを感じやすい環境です。例えば、投資家からの質問に答えるための資料作成を任されたり、資金調達のプロセスに関わったりすることが多くあります。こうしたシーンでは、自分のスキルが会社運営に直接活かされていることを実感できるでしょう。
さらに、スタートアップでは固定された業務に縛られることは少なく、新しい課題解決策の提案を歓迎される風通しの良い文化が魅力です。積極的に提案をすることで、やりがいを感じながらスキルを磨くことができます。その結果として得られる知識や経験は、将来のキャリアアップに大きく寄与します。
スタートアップ企業の経理部スタッフとしての経験により得られるスキルは、幅広い業界で通用する汎用性の高いものです。経理の基礎だけでなく、全社的な運営に関わる能力やデータ分析力を伸ばし、次のステップとして経理リーダーやCFOを目指す道が広がります。このポジションは「専門性の高いスキルを磨きたい」「変化が楽しい環境を楽しみたい」「事業成長のプロセスに関わりたい」と考えている人にとって、理想的な成長の機会となるでしょう。
スタートアップ企業の経理部スタッフの年間スケジュールを、3月決算の会社を例にご紹介します。スタートアップ企業の経理部は少人数で運営されることが多いため、一人ひとりの業務範囲が広く、月次・四半期・年次のサイクルで様々な業務をこなしていきます。
伝票整理や仕訳入力、各種請求書の処理は、経理職の基本的な業務です。しかし、スタートアップ環境では正確さと迅速さが特に求められます。データにミスがあると、資金繰りや投資家対応に影響が出るため、プロフェッショナルな姿勢が必要です。これらをしっかりこなすことが、会社の財務健全性を維持する基礎になります。
決算業務の補助は、経理スタッフとして欠かせない役割です。財務諸表作成の補助業務や、監査法人が指摘した項目に対するレビューと修正などのタスクを通じて、組織全体の運営に貢献します。これにより、会社の業績報告が正確性を保つとともに、投資家や法令への対応がスムーズになります。
資金管理はスタートアップの生命線です。経理スタッフは予算消化状況を綿密にモニタリングし、必要に応じて改善案を提出します。また、キャッシュフローの確認や資金計画の修正作業に関わることも多く、会社の財務士官的な役割を果たす重要業務です。
経理部スタッフはこれらの任務を通じて、短期的な業務遂行力を磨くとともに、長期的なキャリア形成の足掛かりを作ることができます。
経理部スタッフはスタートアップ企業で重要な役割を担いますが、報酬は企業の規模や成長段階に大きく左右されます。それでは報酬水準を具体的に確認していきましょう。
スタートアップ企業の経理部スタッフの想定年収は350万円〜600万円程度が一般的です。企業の成長フェーズが初期段階である場合は、比較的低めの報酬からスタートすることがありますが、シリーズAやB以降の資金調達を経て企業がスケールアップしている場合、報酬は徐々に上昇します。また、未経験者でも挑戦可能なケースが多い一方、経験者や資格保有者は高い報酬で待遇される可能性が高いです。
報酬の主な構成要素は以下の通りです。
経理部スタッフの報酬には以下の変動要因があります。
スタートアップ業界全体では、近年柔軟な給与体系を取り入れる企業が増加しています。特にストックオプションや成功報酬型インセンティブが、従業員のやる気を引き出す戦略として用いられています。このような報酬体系は、スタートアップならではの醍醐味を感じる要素の1つです。
経験を積み、企業の成長を支えた経理部スタッフは、中長期的に報酬の増加が期待されます。それだけでなく、企業のIPO成功時にストックオプションを活用し、大きなリターンを得る可能性も秘めています。
スタートアップ企業では日々業務プロセスやルールが大きく変わることが日常です。昨日までと同じやり方に固執せず、良い変化や改善提案を前向きに取り込める心構えが重要です。新規プロジェクトや体制変更も多い現場では、柔軟性がチーム全体の生産性アップに直結します。
スタートアップ企業の経理部スタッフは「与えられた仕事をこなす」だけでなく「自分から仕事を作る」ことが求められます。業務の幅が広く、担当外のタスクも積極的に拾う姿勢が信頼や評価につながります。未経験領域にも踏み込むチャレンジ精神がキャリア拡大のカギとなります。
経理部は会社の「数字の番人」であり、ミスや不正は即経営リスクに波及します。どんな小さな業務でも妥協せず、お金の動きを誠実・正確に扱う姿勢が絶対条件です。困難なタスクにも、最後までやり抜く粘り強さが評価されます。
新しい会計ソフト、税制変更、クラウドサービス活用など、日々学び直しが必要な現場です。自己学習や先輩メンバーから積極的に吸収する姿勢が、スピード成長に直結します。好奇心旺盛な方ほど活躍の場が広がります。
少人数組織だからこそ、社内全体・他部門との連携が不可欠です。経営層や開発部門、外部の税理士や監査法人とも頻繁にコミュニケーションが発生します。相手の立場をくみ取る対話力やチームワークが想定以上に重要になります。
伝票一枚、仕訳の一桁ミスも、スタートアップではすぐに重大な損失につながるリスクがあります。細部まで「なぜ」「どうして」を確かめる目と、納得するまで追い求めるこだわりが経営の安全網となります。
このようなマインドセットで仕事に臨むことで、スタートアップ経理は、成長のチャンスや信頼を自然に獲得できるポジションです。
日々の伝票入力や仕訳、月次・年次決算処理など、経理業務全体の基盤。最低限「日商簿記3級」レベルの知識は必須です。
会計システム、経費精算・ワークフローのクラウドサービス、Excel、Google Workspaceなどデジタルリテラシー全般。毎年新しいツールに入れ替わるケースも多く柔軟な習得力が重要です。
経営層や社内向けに月次業績資料や各種レポート作成の機会が多いです。ただの「入力作業」ではなく、「なぜその傾向が出ているか」「次のアクションは?」が語れる資料作成力が評価されます。
複数業務を同時並行で回す環境のため、タスクの優先順位付けや進捗管理が必須です。締切・期日意識も高く求められます。
小規模組織では総務や労務、法務関連業務との兼任も想定されます。仕訳や証憑管理で必要となる知識を自ら学び取る姿勢が、幅広い活躍につながります。
経営陣からアルバイトスタッフまで、立場の異なるメンバーと正確なやり取りができる配慮力。伝達ミス・誤解が“数字のミス”に直結するため、クリアで双方向のコミュニケーション力が大切です。
海外展開・資金調達などの機会があれば、英語でのメール対応や海外会計士とのコミュニケーション、IFRS基準の基礎知識が大きな武器となります。
こうしたマインドとスキルの両面を育てていくことで、未経験からでもスタートアップの経理職で活躍する未来が手の届くものになります。自分の内面と経験値を絶えずアップデートし続けること、それこそがスタートアップ経理職への最大の近道であり、キャリアの伸びしろにも直結します。
スタートアップ企業の経理部スタッフになる道のりは、さまざまなルートが存在します。直前のポジションとして想定されるのは、一般事業会社の経理スタッフや会計事務所スタッフ、またはスタートアップ企業で他部門に在籍していた方が社内転属するケースです。加えて、他業種で数字管理や事務業務に携わってきた方、また社会人未経験からのチャレンジも十分実現可能です。
例えば、一般企業で経理や財務、総務などに従事しつつ、より自由で成長できる環境を求めてスタートアップへ転職する道や、会計士や税理士のアシスタントから内部経理のプロへ転向する道もあります。中には営業や人事などバックオフィス以外で経験を積み、数字に強くなったことで経理部スタッフへジョブチェンジするケースも見受けられます。
また、スタートアップ企業のカルチャーに興味があるITエンジニアやWebディレクターなどが、業務システムやデータ連携に関わることで、経理業務への興味が芽生え、会計職へ進むパターンも珍しくありません。新卒入社でスタートアップに入った場合は、まずアシスタント業務やオペレーション補助からスタートし、OJTや資格取得支援を活用して、1人前の経理パーソンへと成長していきます。
さらに、社内転属(例:管理部、人事労務などとの兼務・移動)や、時短勤務・リモートワークなど多様な勤務形態に対応する人材の需要も急増しています。多くのスタートアップ企業では「挑戦したい」「学びたい」という意欲を重視して採用する傾向があるため、会計実務未経験でもチャレンジの門戸は広く開かれています。
この職種を目指すうえで若手時代に経験しておきたいのは、日商簿記3級程度の資格取得や、Excel・クラウド会計サービスの基本操作、事業運営上の「数字を見る力」を身につけることです。また、アルバイトやインターンとして中小スタートアップ企業でアシスタント経験を積むのも有効です。事業会社・監査法人・税理士事務所など経路は多様ですが、「数字を使って会社の未来を創る」という意識があれば、自分なりのルートで夢をつかむことができます。
スタートアップ企業の経理部スタッフで身につくスキルと経験は、業界全体はもちろん、今後の日本社会でもますます重宝されていく分野です。まず第一に、会計・財務業務のプロフェッショナルとして、経営層の意思決定に直結する「経営数字を読む力」「報告・分析力」が磨かれます。ルーチンワークに留まらず、新しいビジネスモデルや資金調達、システム導入に積極的に関与することで、幅広い経営視点が身につくのはスタートアップの経理職ならではの強みです。
また、会社の成長段階に応じて、IPO準備・決算開示・ファイナンスなどの高度な業務にも希望次第で挑戦可能です。大企業で数年かかる経験をコンパクトなチームで一気に積めるため、数年で経理リーダーやマネージャー職へキャリアアップする方も多いです。このような経験は、将来的に他スタートアップ、さらにはCFOや上場企業経理幹部・管理職への道も開いてくれます。
経理スキルの汎用性は極めて高いため、将来的には経営企画、管理部門長、人事・総務マネージャーへの転身や、税理士・公認会計士資格の取得にも役立ちます。最近では、DX推進やAI等との連携プロジェクトで「会計×テクノロジー人材」として重宝されるケースも増えています。業務効率化やシステム導入で培ったノウハウは、ITコンサルや業務改善スペシャリストとしてのキャリアにも活かせます。
スタートアップ企業での経理経験者は、急成長環境で問われる「変化への対応力」「問題解決力」を身につけているため、どの業界でも現場リーダークラスとして高く評価されます。また、在宅や副業にも柔軟に対応できるため、将来ライフステージに変化があっても自分らしい働き方やオリジナルのキャリアパスを描くことが可能です。
このように、経理部スタッフで得られる一つひとつの経験やスキルが、未来の多彩なキャリアへとつながっていきます。自分の成長速度を最大化し、会社と一緒に未来を創る挑戦を思いきり楽しみたい方にとって、スタートアップの経理職は、無限の可能性を秘めた入口となるのです。