経理・財務・会計ファイナンス人材のためのキャリア名鑑

会計人材のキャリア名鑑

銀行の営業部門マネージャー

「顧客の課題を多様な金融サービスを駆使して解決するプロフェッショナル」

営業戦略の実行とチームのマネジメントを担う現場責任者

決算書を正確に読み取り企業・顧客の財務状況やリスク要因を可視化し、最適なソリューションを導く

主な業務内容

  • チームマネジメントおよび営業目標の策定・達成
  • 法人・個人顧客への金融商品(融資・預金・資産運用等)の提案・コンサルティング
  • 行内外の関係者との折衝およびリスク管理

想定年収

600万円~1,000万円
※業績や評価によって変動

想定年齢

30歳~50歳

銀行の営業部門マネージャーは こんな仕事

銀行業界における営業部門マネージャーは、金融商品の販売責任者という肩書だけではありません。企業や個人のお客様が抱く夢や課題に真摯に寄り添い、銀行が持つ多様な金融サービスを駆使して、その実現をサポートします。「金融のプロフェッショナル」として、ビジネスの可能性を引き出す相談役であり、同時に組織を束ねるリーダーでもある -そんなダイナミックな側面を持つのが、このポジションです。

営業部門マネージャーは、営業チームの目標達成に向けて戦略を練り、メンバーの成長を支えます。具体的には、企業の資金繰り支援やM&A、事業承継提案、個人の資産運用やローンの組成など、多岐にわたる案件をハブとなってコーディネートします。例えば大口融資案件では、初回ヒアリングからデューデリジェンス、最適なスキームの提案、リスク分析、稟議・承認プロセスまでマネジメントし、取引の成否に直結する意思決定を担います。加えて、経済情勢や法改正などの最新動向を踏まえつつ、柔軟に戦略を見直すことも欠かせません。

この仕事では、リスク管理が大きな鍵を握ります。例えば資金調達の提案を行う際、融資審査での財務分析はもちろんですが、商流の実態や経営者の資質、業界リスクなど多面的に情報を収集・検証します。時には、複数の関係部署や支店・本部、外部専門家との連携が必要となり、短期間で迅速な意思決定が求められる場面も珍しくありません。不確実性の高い状況でも的確な判断を下し、焦点となるリスクを未然に摘み取るスキルが問われます。

さらに、グローバルに展開する企業と取引する機会も増えており、為替・海外法規・クロスボーダーM&A案件など、国際的な観点でのコンサルティング力がますます重要視されています。今後もデジタル技術や経済環境の変化に伴い、銀行の営業部門マネージャーは常に新しい金融課題に挑みながら、自分自身も成長し続けることができる環境にあります。まさに、「金融の最前線でお客様の未来を一緒に切り拓く」-そんな実感とわくわく感がこの職種には詰まっています。

銀行の営業部門マネージャーという ポジションの魅力

銀行業界の営業部門マネージャーには、金融の枠を超えたダイナミックさが存在します。その最大の魅力は、お客様の「人生設計」や「企業成長」にダイレクトに関与できる点です。ただ商品やサービスを提案するだけでなく、それぞれに最適な金融ソリューションを創造・提案することを通じて、街や企業、地域社会の発展にも大きく貢献できるポジションです。

他の営業職との違いとして、銀行の営業マネジメントは「高い責任」と「自由度」を同時に体験できる環境にあります。単発的な営業成績だけが評価されるわけではありません。個人や法人のお客様の中長期的な関係性構築や、持続的な信頼獲得にこそ真価を発揮します。また、扱う商品ラインナップは非常に多岐にわたり、預金・融資・投資信託・保険・M&Aなど、あらゆる局面でプロフェッショナルとしての幅広い金融知識と提案力が磨かれます。

さらに、組織マネジメントの要素も非常に大きく、経営的な視点を持ってチームの戦略を策定・実行する経験は、他業界にも通用する一流のマネジメントスキルにつながります。自身がリーダーとなり、メンバー育成や採用、業績評価など組織経営全般にも深く関わることになるため、銀行業界内でもキャリアアップの王道ポジションの一つとされています。

社会的意義もひとしおです。地域経済の活性化や、中小企業の成長支援、環境投資の推進など、社会変革へのダイレクトな関与ができます。グローバル企業との大型取引や地方創生といった国家レベルのプロジェクトに携われる機会も多く、社会貢献度の高さは業界トップクラスです。

チームとお客様、二つの輪をつなぐハブとして、自分ならではのリーダーシップで組織をけん引し、未来を切り拓く -銀行営業部門マネージャーは、まさに挑戦と成長に満ちあふれたやりがい抜群のポジションです。金融業界で「本物のプロフェッショナル」を目指したい方にとって、まさに人生の転機となるキャリアの一歩になり得るでしょう。

銀行の営業部門マネージャーの 年間スケジュール例

ここでは、3月決算を想定した営業部門マネージャーの年間スケジュール例を示します。月ごとに多忙な業務が変化しますが、要所要所で組織マネジメントや個別プロジェクト推進などの重要な業務が散りばめられています。

4月

  • 新年度キックオフ会議・方針発表
  • チーム目標・KPIの設定、部下へのアサイン
  • 上半期営業戦略策定
  • 新卒メンバーのOJT・育成計画策定

5月

  • 法人企画提案活動(新規融資・ビジネスマッチング)
  • 個人向け資産運用提案月間
  • 各種金融商品勉強会の開催・参加
  • 支店長・本部との営業進捗ミーティング

6月

  • 上半期進捗レビュー・問題案件の共有
  • 大口顧客向け提案活動(決算期商談)
  • 新規プロジェクト着手(例:サステナブルファイナンス)
  • 各種法令・商品改訂への対応

7月

  • サマーキャンペーンの企画・運用
  • チーム表彰・モチベーションアップ施策
  • 金融関連セミナーやイベント登壇
  • 新商材導入に関する社内外調整

8月

  • 夏季休暇対応、要員調整
  • 既存顧客フォロー・クロスセル強化
  • 取引先企業の業況ヒアリング
  • 四半期業績報告および次期計画ブレスト

9月

  • 上半期実績集計・分析
  • 中間決算対応(企業向け融資関連調整)
  • 顧客満足度向上プロジェクト推進
  • リスク管理・コンプライアンス研修実施

10月

  • 下半期営業戦略見直し・再設定
  • 新規法人開拓・大型案件プロジェクト始動
  • 部内ローテーション・異動者受け入れ
  • 秋季キャンペーン準備

11月

  • プロジェクト案件の中間報告・軌道修正
  • 年末資金需要への営業施策展開
  • 銀行間シンジケートローン対応
  • 若手メンバーへの評価面談

12月

  • 年末大型案件のクロージング
  • 期末に向けた目標進捗チェック
  • 感謝祭イベント運営・顧客表彰
  • 年末挨拶回り、重要顧客とのネットワーキング

1月

  • 新春イベント(セミナー、相談会)企画・実施
  • 年始目標再確認、行内共有
  • チームの人員・リソース見直し
  • 本部との協業プロジェクト推進

2月

  • 期末決算商戦開始
  • 重要顧客との長期契約交渉
  • 営業成績・貢献度の評価票作成
  • 新年度準備会議の開始

3月

  • 期末大型取引のクロージング
  • 全社営業実績の最終集計・報告
  • 来期営業戦略のドラフト作成
  • 決算報告・人事考課、評価面談

定例業務

  • 週次ミーティング・進捗管理
  • 部下の育成・評価
  • 顧客訪問・提案活動
  • 各種リスク管理・法令遵守項目の確認
  • 行内外プロジェクトの推進
  • 融資先企業の財務情報分析

臨時業務

  • 法改正、規制対応
  • トラブル・クレーム案件対応
  • 本部特命案件・緊急プロジェクト参画
  • アクシデント時のリスク最小化対応

こうした流れの中で、営業部門マネージャーは高い柔軟性とリーダーシップを発揮し、組織とお客様双方の成長を同時に実現する役割を担います。

銀行の営業部門マネージャーの 重要任務

銀行営業部門マネージャーには、常に多様な責任が付随します。ここではそのうち特に重要な3つの任務を紹介します。前提として、メガバンク営業部門においてマネジメントを任された場合を想定します。

1.チームマネジメントとメンバー育成

 営業部門マネージャーの第一の任務は、チームの目標達成に向けた戦略策定とメンバーの育成です。達成すべき営業KPIや事務品質目標を定め、状況に応じて業務の割り振りやPDCAサイクルを回します。新入行員や中堅行員との1on1を定期的に行い、モチベーション管理や課題抽出、キャリア形成支援を実践します。時には部門横断的にメンター役となることも求められ、組織的人材育成の中核的存在となります。

2.顧客課題解決型のコンサルティング提案

 お客様のニーズを徹底的にヒアリングし、融資・資産運用・保険・M&Aなど多様なソリューションを組み合わせてオーダーメイド型の提案を行います。特に法人営業では、事業承継・海外進出・新規事業支援など複雑化する顧客課題に対し、行内外のネットワークを活用して仮説構築〜実現可能性の検証まで主導します。このプロセスでは高度なリスク分析や交渉力、合意形成力が不可欠となります。

3.リスク管理とコンプライアンスの徹底

 営業活動においては、信用リスク・流動性リスク・市場リスクの管理が欠かせません。不適切な案件や法令違反防止のため、日々の業務マニュアル徹底、内部監査・外部監査対応、疑わしい取引のモニタリング・レポート提出など、多様な視点でリスクを事前に察知し対策を講じます。近年はマネーロンダリング対策などグローバル標準にも即したコンプライアンス感度が強く求められています。

これらの任務を通じて、営業部門マネージャーは銀行ビジネスの健全な成長と信頼構築の要となっています。現場と本部、顧客と行員、全ての架け橋となるダイナミックな責任を持つポジションです。

銀行の営業部門マネージャーの 報酬水準

銀行営業部門マネージャーの報酬水準は、その責任と求められる能力の高さを反映しており、業界内でも比較的高めに設定されています。以下、報酬の構成要素や変動要因、トレンドを解説します。

概要

  • メガバンクでの営業部門マネージャーの想定年収は、約800万円〜1,200万円程度が一般的です。
  • 指定タイトル(課長・支店長代理など)や勤務地によって差がありますが、役職手当・賞与(業績連動)を含め、平均年収は1,000万円を超えるケースが多いです。
  • 地方銀行の場合は700万円〜1,000万円程度が水準となります。

報酬の構成要素

  • 基本給:約50%~60%
  • 役職手当:約10%
  • 賞与(夏・冬 年2回、業績連動型):約20%~35%
  • 成果に応じたインセンティブ(営業実績連動型):最大年収の15%程度
  • 福利厚生(退職金・住宅手当・育児支援・研修補助等)

報酬の変動要因

  • 支店・部門の営業目標達成度
  • 個人・チームの顧客獲得数、収益貢献度
  • 本部評価システムに基づく総合評価(定量+定性)
  • 行内表彰や特別業績報酬制度

報酬トレンド

  • 近年は年功序列色が弱まり、「成果型報酬」へシフトしています。
  • 部門横断プロジェクトやデジタル推進などの先進案件をリードした場合、特別インセンティブが支給されるケースも増加しています。
  • ワークライフバランスや副業解禁など、多様な報酬制度設計が進んでいるため、将来的にはさらなる柔軟性が期待されています。

このように銀行の営業マネージャー職は、安定性と成果主義の両立が進みつつある現場です。挑戦と成果が直結する報酬制度により、自己成長とモチベーション向上を実感できる環境が整っています。

銀行の営業部門マネージャーの 代表的な会社

日本の銀行を「メガバンク」「地方銀行」「ネット銀行」「ゆうちょ銀行」「その他」に分けて特徴を解説します。

1. メガバンクの特徴

メガバンクは、国内外で広範囲の業務を展開する日本を代表する巨大な銀行グループです。

主な特徴

  • 規模が最大級
    資産規模や収益力が非常に大きく、日本国内外で金融サービスを提供しています。メガバンクとしては以下の3つが該当します。

    • 三菱UFJ銀行(MUFG)
    • 三井住友銀行(SMBC)
    • みずほ銀行
  • 国内外での事業展開
    国内での預金・融資に加え、海外進出した日本企業への金融支援や、国際的な取引を展開する。アメリカやアジア、ヨーロッパなどにも多数の拠点を構える。
  • 多様なサービス
    個人向けの簡易な金融サービスから、法人向けの高度な金融取引、資産運用、投資銀行業務(M&Aや資金調達支援など)まで幅広く対応。
  • 最新技術の導入
    デジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に進め、インターネットバンキング、アプリ、AIを活用した顧客サービスを強化。

2. 地方銀行(地銀)の特徴

地方銀行は特定の地域に拠点を置き、地域密着型の金融サービスを提供する銀行です。

主な特徴

  • 地域密着型の運営
    主に地元企業や住民を対象とした融資や預金業務を行い、地域経済の発展を促す役割を果たしている。
  • 特定の地域限定で活動
    原則、特定の都道府県や地域を拠点にしており、全国展開は行わない。例えば静岡銀行や広島銀行などが該当します。
  • 地元経済のサポート
    地域の中小企業や自治体との関係が強く、企業支援や地方経済の安定化に貢献。住宅ローンやビジネスローンが主力。

3. ネット銀行の特徴

インターネットを中心に取引を行う新しい形態の銀行で、店舗を持たない効率的な運営が特徴的です。

主な特徴

  • 店舗を持たない運営
    インターネットやスマートフォンを通じた取引が全ての中心。店舗運営コストが不要なため低コストでサービスを提供可能。
  • 手数料の安さ
    振り込み手数料やATM利用料が比較的安く、金融サービスの利用にかかる費用を抑えられる。
  • オンラインで完結するサービス
    預金、ローン、決済サービス、外貨預金や投資サービスなど、ほぼ全ての取引をデジタルで完結できる。
  • 若い世代に人気
    デジタルに慣れた若者層を中心に普及し、利便性を求める顧客に支持されている。

主なネット銀行

  • 楽天銀行
  • PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)
  • ソニー銀行
  • auじぶん銀行

4. ゆうちょ銀行の特徴

かつての郵便貯金を担い、日本郵政グループに属する銀行です。

主な特徴

  • 全国に広がる店舗網
    全国の郵便局を拠点とした広範囲のネットワークを持ち、ほぼすべての地域でサービスを提供。
  • 個人向けが中心
    主に個人向け預金や簡易な金融サービスを提供。法人向けの業務は限られている。
  • 安全性と信頼性の高さ
    日本政府の支援を背景に、預金の安全性や信頼性が非常に高い。
  • 利用者層の広さ
    高齢者や地域住民からの支持が厚く、観光地や離島までカバーしている。

5. その他(専門性・特定目的を持つ銀行)

特定の目的や分野に特化した銀行が以下に含まれます。

信託銀行

主に信託業務を中心に行い、資産運用や管理、相続・遺産関連業務に特化した銀行です。

  • 例: 三井住友信託銀行、りそな信託銀行。

政策金融機関

政府が設立し、特定の政策目的(中小企業支援、産業振興など)を達成するための銀行。

  • 例: 日本政策金融公庫、国際協力銀行(JBIC)。

農林中央金庫

農業、林業、水産業を支援する金融機関。JAバンクの中核的役割を果たす。

銀行の営業部門マネージャーに 向いている人は、どんな人?

■求められるマインド

1.責任感の強さ

 営業部門マネージャーにはチームや顧客の将来を託される場面が多いため、一つひとつの判断や行動への確固たる責任感が必要不可欠です。取引や案件を最終的に承認する立場になった際も、自身の決断が組織や社会に及ぼす影響を常に考慮できる人物が求められます。

2.高い倫理観・コンプライアンス意識

 金融業界で最も重視されるのが法令遵守、すなわちコンプライアンスです。不正やグレーな判断を徹底的に排除し、透明性ある意思決定ができるマインドが欠かせません。日々の営業推進やリスク対応でも、倫理観に根ざしたリーダーシップが信頼と安全を担保します。

3.成長意欲・変化への柔軟性

 銀行業界はデジタル化や規制強化、環境変化のスピードが非常に速い分野です。新しい知識やスキルの習得に貪欲であり、「現状維持」よりも常に変化・改善を楽しめるチャレンジ精神が不可欠です。柔軟な発想で新たな課題にも前向きに取り組めるマインドは、周囲を巻き込む推進力となります。

4.ホスピタリティと顧客第一主義

 顧客視点を徹底し、常に相手の立場に立って課題・潜在ニーズの発見や解決策の提案を行う姿勢が重要となります。信頼関係の構築には、細かな気配りやフォローアップも欠かせません。既存顧客のリテンションや紹介にもつながる「人と人」を大切にする一面が成功の鍵となります。

5.リーダーシップとチームワーク

 組織を束ねる上で、適切な指示やサポート、メンバー同士の信頼構築が求められます。時に厳しさと温かさを両立しながら、「自分が率先して動く姿」を示せる資質が、組織の成長と成果につながります。

6.課題発見・解決志向

 現状の枠組みにとらわれず、本質的な課題を見いだし、最適解を追求できる思考力が成長を加速させます。ルーチン営業で満足せず、世の中や顧客の「変化の兆し」に敏感に反応し、組織に提案する力が重要です。

7.ストレス耐性とバランス感覚

 支店や本部、多様な顧客や組織間の調整役として、プレッシャーや不確実性が高い場面も多々発生します。どんな局面でも冷静に状況を判断し、周囲と適切にコミュニケーションを取りながら前進できるバランス感覚が大切です。

銀行営業部門マネージャーは、上記のような多彩なマインドを高いレベルで備えている人が活躍しやすい傾向にあります。業績や評価だけでなく、組織全体の安心感や前向きな空気を生みだすのも、リーダーの資質です。

 

■必要なスキル

1.高度な金融知識・市場動向把握力

 融資、資産運用、保険、法人取引など幅広い金融知識とトレンドへのアンテナが必須です。市場分析や制度改正を即座にキャッチアップし、実践に落とし込む能力も不可欠とされます。

2.財務分析力・リスク評価力

 融資先企業の決算書を正確に読み取り、企業・顧客の財務状況やリスク要因を総合的に判断できるスキル。取引判断や新規提案の際、リスクを可視化し最適なソリューションへ導く力が重要です。

3.コンサルティング・プロジェクト推進力

 複数部門や外部専門家との連携をリードし、ヒアリング→提案→実行管理まで一気通貫で推進するコミュニケーション力・計画遂行力が必要です。

4.マネジメント・育成スキル

 多様なメンバーの強みを活かし、個別育成・評価・アサインメントといった組織運営全般を担当します。フィードバックやメンタリング含め、恒常的なチームビルディングが求められます。

5.コンプライアンス・内部統制スキル

 金融庁や社内規定への正しい理解のもと、日々の営業活動や顧客対応の中でガバナンス遂行力が問われます。違反や誤認を未然に防ぐチェック&コントロール力も必須です。

6.ICT(情報通信記述)・デジタル活用力

 オンライン面談やデータ利活用、CRMシステム、マネジメント帳票など、デジタルツールの活用と業務効率化が急速に進んでいます。新しいITサービスにも臆せず挑戦できるスキルが強みとなります。

7.ネゴシエーション・交渉力

 重要顧客や社内意思決定時に、複雑な利害調整・説得・合意形成を成し遂げる高い交渉力が不可欠です。柔軟な論理展開・感情面の配慮・提案力を兼ね備えている人が活躍できます。

以上のスキルは、営業部門マネージャーとして着実に成果・信頼・成長を積み重ねていくための必須条件です。若手時代から少しずつ磨いていくことで、どんな環境変化にも柔軟に対応し、キャリアアップへとつなげることができます。

銀行の営業部門マネージャーまでの 道のり

銀行の営業部門マネージャーに到達するには、いくつかのステップが想定されます。まず直前のポジションとして、多くは「営業課長」「渉外課長」「支店長代理」「営業推進リーダー」など、既にチームマネジメントを担う経験が求められます。ここでは小規模ながらもグループ単位のマネジメント、顧客とのキーマン交渉、収益KPIの達成等の実績が有力な選考ポイントとなります。

さらに一つ前の段階では、「営業担当係長」「渉外リーダー」「法人・個人営業の主担当」「プロジェクトリーダー」「本部企画スタッフ」など、専門分野でのリーダーシップやプロジェクト遂行経験が活かされます。特に、法人・個人を問わず多様な案件への対応能力、業績貢献度、行内横断的なコミュニケーション力が重視されます。

最初のキャリア段階では、「営業担当者(渉外担当/顧客担当)」として現場で一定期間を経験します。1人で複数顧客を担当し、預金・融資・資産運用提案を通じて銀行業務の多様なスキルセットを体得します。一定期間ごとのジョブローテーションにより、さまざまな支店・部門で実務経験を重ねることが一般的です。

また、中途採用や他社からの転職パスも広がっています。保険会社・証券会社・コンサルティングファーム等での営業マネジメント経験や、IT・不動産・事業会社の社内ベンチャー責任者なども転職先として注目されています。近年はデジタルバンキングや新規事業創出担当を経由して幹部候補に抜擢される例も増加中です。

若手時代から「数字意識」「お客様最優先」「組織貢献」を意識した成果を積み上げ、幅広いステークホルダーとのコミュニケーション能力を培っておくことが、営業部門マネージャーへの王道のパスとなります。多様な選択肢を活かしながら、「自分の強み」を現場で磨きつづけることが到達への一番の近道と言えるでしょう。

銀行の営業部門マネージャーの キャリアパスの展望

銀行の営業部門マネージャーとして培った能力は、将来にわたって金融業界内外問わず高く評価され続けます。高度な金融知識、多様な営業経験、そして組織マネジメントの実績は、銀行内でのさらなるキャリアアップの扉を大きく開く原動力となります。例えば、支店長・本部部長・営業部長といったマネジメント上位職、さらには研修企画・経営企画・業務企画など横断的なポジションへのステップアップも可能です。

これらのポストでは、より大きな組織運営や経営意思決定の中心となる働き方が期待されます。金融イノベーションやSDGs関連など、社会的影響力の大きな案件にも携わることができます。また、営業現場マネジメントで鍛え上げた現場対応力や人材育成ノウハウは、将来的にグループ内外へ展開できる貴重な財産となります。近年では銀行グループの証券・カード・リースなど系列金融機関への異動、外部金融機関やIT企業等への転身例も珍しくありません。

一方、組織外でもその専門性とマネジメント経験を評価され、社外取締役やコンサルタント、地域金融アドバイザー等の登用例も目立っています。地方自治体や企業の財務アドバイザー、サステナブルファイナンス推進のリーダーなど、新しい職域へキャリアを広げる人も増えています。

長期的な視点で見れば、銀行営業部門マネージャーのキャリアは安定性と成長性を兼ね備えています。金融リテラシーとリーダーシップ、顧客課題解決力は、どんな時代・業界でも必要とされる稀少価値です。金融を通じて社会を支えたい、お客様と組織の未来を本気で変えたい -そんな情熱を持つ方にとって、営業マネジメント職はまさに「キャリアの頂点」となるポジションです。

まとめ

役割と責任

  • 営業チームの目標・戦略策定から実行、組織運営およびリスク管理まで、銀行営業現場の成否を左右するリーダー的存在
  • 顧客課題の本質解決と銀行の収益・信用の両立を実現

求められるマインドやスキル

  • 高い倫理観・責任感、挑戦意欲や顧客志向、バランス感覚とストレス耐性
  • 金融知識から財務分析・マネジメント・ICTスキル、交渉力まで幅広く必要

重要な職務

  • チームマネジメントとメンバー育成
  • 顧客課題解決型のコンサルティング提案
  • リスク管理とコンプライアンスの徹底

キャリアパス

  • 銀行グループ内で支店長・本部職・経営企画など多様な将来が開け、次長職、部長職さらには役員まで銀行内でのキャリアアップ
  • 銀行内の営業マネジメント経験や財務分析力や事業承継の実務を生かし、保険会社・証券会社・コンサルティングファーム等へのキャリアチェンジ