経理・財務・会計ファイナンス人材のためのキャリア名鑑

会計人材のキャリア名鑑

VCのアソシエイト

「未来の産業を創るスタートアップの伴走者」

スタートアップと共に成長を創る推進者への挑戦

未来のイノベーションを見抜き、投資で社会を動かすキャリア

主な業務内容

  • スタートアップのソーシング(発掘)と起業家との面談・事業分析
  • デューデリジェンス(事業・財務・法務等)とバリュエーションモデル作成
  • 投資実行のサポート、投資先のハンズオン支援と進捗モニタリング

想定年収

700万円~1,500万円
※業績や評価によって変動

想定年齢

25歳~35歳

VCのアソシエイトは こんな仕事

ベンチャーキャピタル(VC)のアソシエイトは、未来の産業を担うようなスタートアップ企業を発掘し、成長に向けて密接に伴走する「ビジネス創出の最前線」の役割です。アナリストより一段踏み込んで、投資判断・契約・経営支援プロジェクトを主導する推進者であり、経営陣あるいはパートナーと共に案件の成否を背負うことも珍しくありません。

まず、アソシエイトの主な業務は、日々新しいスタートアップを探すソーシング活動から始まります。ピッチイベントや紹介、起業家コミュニティへの参加、最新分野の調査、SNSや業界紙のウォッチなど、幅広い領域から有望な企業をリストアップします。その上で、創業チームや経営者等と直接面談し、企業理念やプロダクト、将来の成長シナリオなどをヒアリングします。

案件化が決まれば、アナリストや外部専門家と連携しつつ、デューデリジェンス(DD)を主導します。具体的には、市場の成長性や競争優位性、技術力、収益モデル、経営チーム構成、財務状況などを細かく分析し、想定リスクを洗い出します。たとえば、プロジェクトが想定以上に遅れた場合の資金繰り、ピボット(事業転換)リスク、法務・知財のボトルネックなど、VCは「定量・定性的なリスク管理」にも強い責任を負っています。

投資委員会向けの資料作成や、バリュエーション(企業価値評価)モデル作成も重要な仕事です。「このスタートアップなら将来的に3年後5年後にこれだけの成長が見込める」という仮説を、データや事例から客観的に論理立ててまとめます。

投資実行フェーズでは、契約や資本政策の設計支援、他の共同投資家との連携調整などもアソシエイトの業務範囲です。そして、投資後こそがアソシエイトの真骨頂です。担当投資先をモニタリングし、月次KPI・業績進捗チェック、経営陣が迷ったときには壁打ちや課題解決の示唆、場合によっては追加資金調達や採用方針の検討まで寄り添います。

また、日常的に起業家・ファンドメンバー・専門家とディスカッションしながら、新たな技術や産業の台頭を探るスリリングな環境です。不安定で変化も激しいですが、誰も見たことのない未来を切り拓きたい、社会課題を先端ビジネスで解決したいという 志を持つ人にとって魅力的なフィールドです。

VCのアソシエイトという ポジションの魅力

VCのアソシエイトは、スタートアップ・イノベーション業界のど真ん中で働く魅力があります。扱う領域や出会う起業家の多様さに加え、誰も見たことのない未来や社会的インパクトの直接的な醍醐味を味わえるのが大きな特徴です。

一つの案件で深く経営陣と向き合い、投資判断だけでなく、資金調達や新製品・サービス立ち上げフェーズ、成長戦略、時には組織改革やピボットの意思決定にも伴走できます。こうしたリアルなビジネス現場での経験は、他の金融系職種やコンサル職と比べても格段に実感値が高く、圧倒的な成長実感をもたらしてくれます。

また、関われる産業分野もIT、AI、バイオ、フィンテック、サステナブル、宇宙、フードテックなど、社会・経済を変える分野が揃っており、自らの好奇心や専門性を日常業務で存分に発揮できます。社内はもちろん、国内外の大手企業、他VC、政府・自治体、大学、シンクタンクなど多様な人脈も自然に拡がり、プロジェクト協業やイベント登壇等の機会も多く訪れます。

年齢やバックグラウンドより「論理的な仮説」「高いコミットメント」「役割越境型の行動」が評価されるため、自分自身の努力次第で裁量権も報酬もスピーディに大きくなります。キャリアパスも多様で、ファンド内でVP/パートナー昇格からスタートアップ転身、コンサル・PE・大手事業会社CVC部門、はたまた自ら起業しVCの経営者へなど、多様なキャリアパスが開かれます。

語学・テクノロジー・経営知識・ファイナンスを同時に鍛えながら、世界基準で勝負する若手へと急成長できるのがこの仕事です。VCのアソシエイトは、好奇心と胆力、論理と情熱を武器に、新しい産業を創出するキャリアへの最高の入口です。

VCのアソシエイトの 年間スケジュール例

3月決算、日本の代表的なVC(複数案件同時進行、グローバル案件あり)を想定した年間スケジュール例です。

4月

  • 新年度の投資戦略会議・テック分野のリサーチ
  • 有望スタートアップ候補のソーシング/ピッチイベント参加
  • 投資先の年度レポート策定・課題レビュー

5月

  • 起業家・経営者との面談/事業アイディアのディスカッション
  • 財務デューデリジェンスの開始、初期仮説モデル作成
  • 投資委員会ドラフト資料準備

6月

  • 各種デューデリジェンス(法務/技術/市場等)を主導
  • パートナーと案件詳細レビュー・リスク整理
  • 共同出資案件の調整・契約書ドラフト

7月

  • 投資委員会へのプレゼン・意思決定
  • 投資契約・クロージング支援
  • 投資先新規ボードミーティング準備

8月

  • 投資先KPI設計・グロース施策立案サポート
  • 採用・マーケティング等、経営支援PJのサポート
  • 中間KPIレビュー・レポーティング

9月

  • 投資先企業への定例訪問・現場支援
  • ポートフォリオ企業の横断課題調整
  • 国内外業界カンファレンスでの情報収集

10月

  • 新規案件リサーチ/起業家コミュニティとの連携強化
  • 既存投資先のEXIT候補検討・関係者ヒアリング
  • 年間成果分析

11月

  • 追加投資案件の精査・ピッチ資料作成
  • 投資先の経営課題・経営チーム再編支援
  • 海外案件の実務フォローアップ

12月

  • 年末の成果発表会
  • 新規分野レポート作成・翌年度戦略に向けた勉強会参加
  • 起業家交流イベントの運営

1月

  • 新年度投資リスト・分析更新
  • ピッチイベント運営・外部審査員サポート
  • 市場動向まとめと投資テーマ策定

2月

  • ポートフォリオマネジメント/EXIT候補企業との協議
  • マイルストーンレビュー・資本政策修正案準備
  • チームの年間業務検証

3月

  • 期末決算・投資先財務チェック/総括会議
  • EXIT実行、IPO・M&Aケースの対外資料作成
  • 新年度目標設定・リーダーアサイン

定例業務

  • 週次投資委員会/案件進捗ミーティング
  • 投資先ステータスレビュー、起業家ヒアリング
  • 契約書・業績レポート、社内外イベント

臨時に発生する業務

  • 投資先企業経営課題・トラブル対応
  • 突発的なEXIT・追加資金調達のための社内部会
  • メディア対応・業界トレンド速報の解説対応

VCのアソシエイトの 重要任務

案件ごとに主担当者として、発掘・評価・実行・経営支援まで広くリードする推進力が求められます。

1.スタートアップ発掘・案件化リード

産業・技術・消費動向のトレンド分析から有望企業を発見します。起業家のビジョンや組織スキルを定性的・定量的に見極め、他VCや専門家とも連携して投資案件化を推進します。

2.デューデリジェンスとバリュエーション設計

技術・市場・財務などの多面的リサーチ、仮説設定と検証をします。想定される事業リスクや課題を深掘り、将来シナリオごとの事業/財務モデルを作成し、投資委員会向けの説得力ある資料にまとめます。

3.投資先スタートアップのハンズオン支援・モニタリング

資本政策やKPI設計、PR・採用・組織開発、追加資本調達、EXIT設計等を具体的なアクションプランとして伴走します。経営課題が発生した場合は現場対応やリソース調達も主導し、真の成長パートナーを実践します。

VCのアソシエイトの 報酬水準

概要

  • 年収700万~1,500万円(外資系/大手は2,000万円超もあり)
  • 基本給+年次ボーナス
  • インセンティブ(EXITや年度成績による)
  • ストックオプション、時に副業やリスキリング補助

報酬の構成要素

  • 基本給(多くは月給制、一部プロフィットシェア)
  • 投資業績連動の賞与・特別インセンティブ
  • 社会保険・交通費等
  • 一部ファンドではストックオプションやキャリーもあり

変動要因

  • ファンドの規模・実績・海外案件担当の有無
  • 個人案件成果やリーダーシップ、英語等スキル
  • 担当EXITや追加投資実績

報酬トレンド

  • 若手でも高位になりやすく、成果型インセンティブの比重が年々拡大
  • グローバル案件対応や高難度案件で追加報酬制度も増加中
  • 多様な副業・学び直し機会の支援も拡充

VCのアソシエイトに 向いている人は、どんな人?

■求められるマインド
1.知的好奇心・探究力

新規産業・技術・社会課題への興味と探究心。未知を面白がり、学び続ける姿勢。

2.チャレンジ精神・突破力

実績や年齢・専門性にとらわれず、未踏の分野にも飛び込む胆力。変化と挑戦を前向きに楽しめること。

3.共感力・誠実さ

起業家や経営者の課題を自分ごとで考え、誠実に寄り添う共感力・支援意識。信頼構築の土台として重要。

4.論理的思考と実行意欲

事実・データに基づいた意思決定と、最後までアウトプットをやり切る責任感。

5.チームプレーと巻き込み力

多様な関係者や専門家と共に価値を創る姿勢。組織の枠・役割にとらわれず、率先して動ける人。

6.柔軟性・マルチタスク力

環境の変化・タスク量に柔軟に適応し、複数案件を同時並行で推進できる力。


以上のような、知的好奇心と胆力を両立し、チャレンジを楽しみながら仲間や経営者と本気で伴走できるマインドが求められます。

■必要なスキル

1.リサーチ・情報収集力

新分野やグローバル動向、競合モデルなどの正確な収集・分析

2.ファイナンス・財務分析力

スタートアップ向け財務・バリュエーションモデルの構築、資本政策設計

3.資料作成・プレゼンスキル

社内外投資委員会や経営層向けにわかりやすい資料作成

4.コミュニケーション・ヒアリング

経営者や社内パートナー、外部専門家へのヒアリング・調整

5.現場推進・プロジェクト管理

案件の進行管理・フォローアップと突発課題への対応

6.語学力

英語等グローバル案件対応に必要な基礎力・読解力


「幅広いビジネスリテラシー」と「現場での実践力」が両立してこそ、投資判断や経営支援の一流になれます。

VCのアソシエイトまでの 道のり

直前で多いのは、以下のポジションが考えられます。

  • VCのアナリスト(調査、案件組成経験者)
  • コンサルティングファームの戦略・新規事業系コンサルタント
  • 銀行・証券会社におけるM&A部門などファイナンス業務経験者
  • スタートアップ企業や事業会社での新規事業の開発担当者

それ以前は、以下のキャリアが考えられます。

  • 大学・大学院でのビジネス系・理工系専攻
  • 起業経験者、インターンやビジネスコンテスト出場経験
  • 事業会社の企画・マーケティング・エンジニアからのキャリアチェンジ

また、若手限定採用や中途登用、社内ローテーションでの異動も一般的です。どこからでも「主体的な行動」「論理的アウトプット」「強い挑戦意欲」があれば、この職種への道が開けます。

VCのアソシエイトの キャリアパスの展望

アソシエイト経験を重ねることで、以下のようなキャリアパスが描けます。

  • シニアアソシエイト→MD/プリンシパル→パートナーへの昇格コース
  • スタートアップの経営層(COO/CFO)やCVC部門責任者への転職
  • プレイヤー/アクセラレーター、独立系投資家、起業家としてキャリア拡大

EXITやIPO経験、クロスボーダー案件の実績は希少人材としての市場価値強化につながり、20〜30代で世界レベルのビジネスリーダーに成長できます。「挑戦の軌跡」そのものが市場価値、自己実現の糧となる魅力的なキャリアです。

まとめ

役割と責任

  • スタートアップ企業の発掘から投資実行、経営支援、EXITまで全工程を担う現場型プロフェッショナル
  • 未来の社会・産業の進化をファンドと共に推進

求められるマインドやスキル

  • 知的好奇心・チャレンジ精神・論理性・チームプレー・柔軟性
  • リサーチ、財務分析、資料作成、英語・IT理解などマルチスキル

重要な職務

  • スタートアップ発掘・案件化リード
  • デューデリジェンスとバリュエーション設計
  • 投資先スタートアップのハンズオン支援・モニタリング

キャリアパス

  • シニアアソシエイト→MD/プリンシパル→パートナーへの社内昇進
  • スタートアップ企業への転職や、コンサルティングファームや投資銀行などの多様なキャリアパス