経理・財務・会計ファイナンス人材のためのキャリア名鑑
データと直感を武器に、企業の未来を設計する醍醐味
経営者の右腕として、ビジネスの最前線で活躍する喜び
1,200万円~3,000万円
※業績や評価によって変動
40歳~60歳
大手上場企業の経営企画部長は、CEOや取締役の右腕として、会社全体の戦略立案から実行までを指揮し、企業価値を最大化する重要なミッションを担います。数百億、時には数千億円規模の投資判断に関わり、新規事業の創出や海外展開の意思決定に深く関与する、企業経営の中核を担うポジションです。経営者の視点で物事を考え、全社的な課題解決に取り組めることから、やりがいと影響力の大きさは他の追随を許しません。
経営企画部長という役職は、まさに企業の経営戦略に対する舵取り役です。毎朝オフィスに足を踏み入れるとき、目の前に広がるのは一般的なデスクワークではなく、企業の未来を左右する戦略的意思決定の世界です。
経営企画部長の一日は、早朝のCEOとの打ち合わせから始まることもあります。「海外市場での新規事業展開について、最終判断をしたい」というCEOの言葉を受け、過去数ヶ月にわたって収集・分析してきた市場データや財務シミュレーションを用いて、判断材料を提供します。数百億円規模の投資判断に、分析と提言が直接影響するのです。
午前中は、中期経営計画の進捗会議を主催します。各事業部門の責任者を集め、KPIの達成状況をレビューし、計画と現実のギャップに対する対応策を議論します。「国内市場のシェア拡大目標が未達の理由は何か?新たな競合の参入か、それとも自社の施策に課題があるのか?」—こうした本質的な問いかけをリードし、全社の戦略修正につなげていきます。
午後には、有望なスタートアップ企業とのM&A検討会議があります。候補企業の技術力、シナジー効果、買収後の統合計画について、財務、法務、事業部門と連携しながら、多角的な検討を進めます。「この買収が実現すれば、自社の弱点を補い、次の成長ステージに進むことができる」—そんな大きな構想を描きながら議論をリードします。
夕方には取締役会の議案を準備し、翌週の会議に備えます。企業の重要意思決定が効果的に行われるよう、論点を整理し、必要な資料を揃えるのも重要な仕事です。
さらに、投資家向け説明会(IR)の準備にも関わります。企業の戦略や業績見通しを市場にどう伝えるか、CFOや広報部門と緊密に連携しながら、投資家からの信頼獲得に努めます。
このように経営企画部長の仕事は、企業全体を俯瞰し、経営層と現場をつなぐハブとしての役割を担います。社内政治の調整役、経営者のアイデアを形にする触媒、そして時には反対意見も述べなければなりません。日々の業務は多岐にわたりますが、自分の判断や戦略が会社の未来を創り、数千人、数万人の従業員の生活に影響するという、他のポジションでは味わえない醍醐味があります。
経営企画部長という役職を目指す最大の魅力は、「企業経営の中枢」で活躍できることにあります。会社の未来を描き、その実現に向けた道筋をCEOなどとともに作りあげていくのです。
その影響力の大きさは他の追随を許しません。まず、新規事業の立ち上げ、海外進出、M&A、組織再編など、会社の存続と発展に関わる重要な意思決定に、分析と提言が直接反映されます。「自分が練り上げた戦略で会社が大きく成長した」「自分の判断で適切な投資判断ができた」という達成感は、ビジネスパーソンにとって最高の醍醐味です。
第二に、経営者視点を養える点も魅力です。経営企画部長は、CEOや取締役等のすぐ近くで働き、取締役会に参加することで、経営者の意思決定プロセスを間近で学ぶことができます。財務、人事、営業、製造など個別の専門領域を超えた「全体最適」の考え方、市場環境の変化に対する感度、リスクと機会のバランス感覚など、経営者マインドを肌で学ぶことができるのです。これは、将来経営者になるための最高の修行場でもあります。
第三に、多様なビジネススキルを磨けることも大きな魅力です。経営企画部長は、データ分析、プレゼンテーション、ファシリテーション、交渉力、文書作成など、あらゆるビジネススキルの集大成が求められます。複数の部門を調整しながらプロジェクトを前に進める経験は、どのような業界・職種にも通用する普遍的な能力となります。
もう一つ見逃せないのは、キャリアパスの広がりです。経営企画部長の経験者は、その戦略的思考力と全社を見渡す視点を買われて、事業部門のトップや子会社社長に抜擢されることも少なくありません。また、M&A案件を多く手掛けた経験から投資ファンドへ転身したり、経営コンサルタントとして独立したりするキャリアも可能です。
最後に、経営企画部長は、社会的にも大きな貢献ができるポジションです。大手上場企業の戦略は、雇用創出、地域経済への貢献、環境問題への対応など、社会全体に影響を与えます。サステナビリティ戦略やDX推進など、社会の変化を先取りした戦略立案で、企業と社会の共生を実現する責任者となれるのです。
経営企画部長という職務は、確かに責任も重く、プレッシャーも大きいものです。しかし、その先にある「企業と社会の未来を創る」という醍醐味こそ、このポジションを目指す最大の理由ではないでしょうか。
大手上場企業の経営企画部長は、企業の戦略立案から予算策定、経営会議の運営など多岐にわたる業務を担当しています。以下に、3月決算の大手上場企業の年間スケジュール例を月別にまとめました。
経営企画部長の業務は大きく以下の周期で回っています。
4月(新年度開始)
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月(年度末)
経営会議・取締役会の運営
重要プロジェクトの推進
対外対応
経営情報の収集・分析
大手上場企業の経営企画部長の年間スケジュールは、年度計画・中期計画の策定と実行管理を軸に、経営会議運営、IR活動支援、特命プロジェクトなど多岐にわたる業務で構成されています。特に第3四半期から第4四半期にかけては次年度予算策定があり、最も忙しい時期となります。
一方で、通年で発生する特命プロジェクトやM&A検討など、突発的な業務も多いため、柔軟な対応力と優先順位付けの能力が求められます。経営企画部長は、こうした計画的業務と突発的業務のバランスを取りながら、企業の持続的成長と価値向上に貢献する重要な役割を担っています。
中期経営計画(3〜5年計画)は企業の進むべき方向性を示す羅針盤であり、その策定と実行管理は経営企画部長の最も重要な任務の一つです。
具体的な業務内容
組織への影響と重要性
成功のための要件
企業の重要意思決定を支援し、ガバナンス機関である取締役会や経営会議の運営を担うことは経営企画部長の中核的任務です。
具体的な業務内容
組織への影響と重要性
成功のための要件
限られた経営資源(予算・人材・設備・時間など)を最適に配分し、組織構造や事業ポートフォリオを継続的に最適化することも経営企画部長の重要任務です。
具体的な業務内容
組織への影響と重要性
成功のための要件
上記3つの重要任務は互いに密接に関連しています。
このサイクルを効果的に回すことが、経営企画部長の最大の任務であると言えるでしょう。
経営企画部長の究極的な役割は、「CEOの右腕として、企業価値向上のための経営基盤を構築すること」に集約されます。上記3つの重要任務を効果的に遂行することで、企業の持続的成長と競争優位性の確立に貢献します。
特に近年のVUCA時代においては、変化の激しい環境に対応するための柔軟性と、長期的な方向性を見失わない一貫性の両立が求められています。経営企画部長はこの両立を実現するための要となるポジションであり、その役割の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。
大手上場企業の経営企画部長の報酬水準について、公開情報等に基づいて解説します。ただし、業界、企業規模、個人の経験・スキルによって異なります。
日系企業の部長クラスの年間報酬(賞与込み)は平均で約1,400万円程度となっています。経営企画部長は、一般的に企業内の部長職の中でも重要度が高いポジションとして位置づけられることが多く、この平均値かそれ以上の報酬水準である可能性が高いと考えられます。
一般的な経営企画部長の報酬は以下の要素で構成されています。
経営企画部長は以下の理由から、同レベルの他部門の部長と比較して報酬が高めに設定されるケースがあります。
近年の報酬水準に関する動向として以下が挙げられます。
大手上場企業の経営企画部長の報酬水準は、平均的に年収1,200万円〜3,000万円程度と考えられますが、企業規模、業界、個人の経験やスキルによって大きく異なります。特に経営企画部門は企業の中核を担う部門であるため、他の部門長と比較してやや高めの報酬が設定されるケースが多いと言えるでしょう。
また、今後の傾向としては、単純な年功序列ではなく、職務の難易度や成果に基づく報酬体系がさらに浸透していくことが予想されます。経営企画部長のような戦略的重要性の高いポジションでは、市場価値に基づく競争力のある報酬設定が一層進むと考えられます。
経営企画部長は企業の経営戦略の舵取り役として、業務遂行能力だけでなく、特有のマインドセットが求められます。大手上場企業という環境において、経営企画部長が持つべき核心的なマインドについて解説します。
部分最適ではなく全体最適を常に追求するマインド。自部門や特定事業の利益を超えて、企業全体の価値向上のために思考し行動する姿勢。
「この決断は自部門にとって良くなくても、会社全体にとって最適な選択なのか」と常に自問する習慣を持つことが求められる。
経営トップの立場から考え、CEOの右腕として機能するマインド。社長が考えていることを先回りして理解し、サポートする視点。
「もし自分が社長だったら、どのような判断をするか」という思考実験を日常的に行い、経営者目線を養う。
現状を維持するのではなく、常により良い企業の姿を追求し変革を推進する姿勢。危機感と好奇心を併せ持つマインド。
「現状維持は後退である」という意識を持ち、常に会社をより良くするための変革アイデアを考え続ける。
短期的・断片的ではなく、長期的・体系的に考えるマインド。因果関係を構造的に理解し、先を見据えた意思決定を行う能力。
「なぜ?」を5回繰り返す「5Whys」の思考法を活用し、問題の本質に迫る習慣をつける。また、「3年後、5年後にこの決断をどう評価するか」という時間軸を常に意識する。
多様な意見や利害を調整し、最適解へと導くマインド。対立を創造的な解決に変換する姿勢。
勝ち負けではなく全体としての最適解を追求する意識を持ち、相反する意見の両方を活かす第三の道を常に模索する。
主観や感情ではなく、客観的なデータと事実に基づいて判断するマインド。思い込みや過去の成功体験に囚われない姿勢。
「私はこう思う」と言う前に「データが示すのは」と考える習慣をつける。また、自分の仮説を否定するデータにも真摯に向き合う姿勢を持つ。
過去や現在に囚われず、未来の可能性を追求するマインド。創造性と実現力を併せ持つ姿勢。
「今日の成功が明日の失敗の種になりうる」という意識を持ち、常に自社ビジネスモデルの持続可能性を問い続ける。
潜在的リスクを察知し備えつつも、適切なリスクテイクを恐れないマインド。危機に直面しても柔軟に対応する回復力。
「最悪のシナリオは何か、その場合どう対応するか」を常に考えておくことで、リスク感性と危機対応力を養う。
自らの限界を認識し、常に学び続ける姿勢。経験や知識に関わらず謙虚に耳を傾けるマインド。
「学ぶことをやめた瞬間に成長も止まる」という認識を持ち、日々の業務や対話から学びを得る意識を持つ。
企業の持続的成長と社会的価値創造に対する強い使命感。短期的な利益追求よりも長期的な企業価値と社会的責任を重視するマインド。
「この意思決定が10年後の社会と企業にどのような影響を与えるか」という長期的視点で判断する習慣を持つ。
上記10個のマインドは相互に関連しており、時に相反することもあります。例えば、データドリブンな判断と直感的な未来洞察のバランス、変革推進と組織の安定性の両立などです。
真に優れた経営企画部長は、これらのマインドを状況に応じて適切に使い分け、組み合わせる「バランス感覚」と、思考を実際の行動に移す「実践力」を備えています。
理想的なマインドを持つだけでなく、日々の判断や行動にそれを反映させ、組織に変化をもたらすことが、大手上場企業の経営企画部長としての真価であると言えるでしょう。
経営企画部長は企業の戦略立案と実行を担う重要ポジションであり、多岐にわたる高度なスキルが求められます。大手上場企業の経営企画部長として求められる具体的スキルを体系的に解説します。
・戦略フレームワーク活用力
・データ分析力
・中長期経営計画策定スキル
・財務分析力
・投資評価スキル
・予算管理スキル
・デジタルリテラシー
・データドリブン経営推進力
・BI/分析ツール活用力
・投資家対応力
・情報開示マネジメント
・開示資料作成力
・コーポレートガバナンス理解
・法規制対応力
・変革推進力
・説得力・影響力
・チームマネジメント
・会議運営力
・利害調整能力
・プロジェクトマネジメント
・論理的思考力
・統合思考力
・創造的思考力
・経営層対応力
・対外コミュニケーション
・文書作成力
・ストレス耐性
・変化対応力
・学習継続力
大手上場企業の経営企画部長には、高度な分析力と戦略構築能力、影響力と調整力、そして未来洞察力と実行推進力を兼ね備えた人材(T型人材)が求められます。
すべてのスキルを完璧に習得することは困難ですが、基本となる核心スキルを確実に身につけつつ、自身の強みとなる専門性を磨き、弱点を補完する体制構築や人材活用を行うことが重要です。
また、これらのスキルは静的なものではなく、VUCA時代の経営環境変化に応じて常にアップデートし続けることが不可欠です。経営企画部長自身が学習し続ける姿勢を示すことで、組織全体の成長マインドセットも醸成できるでしょう。
経営企画部長という役職に至るまでのキャリアパスは一つではありません。様々な経路から到達可能であり、それぞれに特色があります。
多くの場合、経営企画部長の直前のポジションは、経営企画部の次長や課長クラスであることが一般的です。経営企画部内でチームリーダーとして中期計画策定や重要プロジェクトを牽引した経験が、部門全体を統括する部長ポジションへの準備となります。あるいは、事業企画部門のマネージャーとして特定事業の戦略立案に携わった後、全社戦略を担う経営企画部長へと昇進するパターンもあります。
財務部や経理部の管理職から経営企画部長に異動するケースも多く見られます。特に財務部門での経験は、投資判断や資本政策など、経営企画で扱う重要テーマと密接に関連しているため、自然な流れといえるでしょう。「予算管理や財務分析のスキルを持ち、数字に強い」という評価が、経営企画部長への抜擢につながることは少なくありません。
営業部門や製造部門などの第一線で成果を上げた人材が、その事業感覚を買われて経営企画に招かれるケースです。現場感覚と戦略的思考を兼ね備えた人材として、高く評価されることが多いでしょう。
特に戦略コンサルティングファームやM&Aアドバイザリー、投資銀行などのバックグラウンドを持つ人材は、その専門性と外部ならでは視点を評価されて直接経営企画部長に招聘されることがあります。また、異業種の経営企画経験者が、産業の壁を越えてヘッドハンティングされるケースも珍しくありません。
これらの直前ポジションにたどり着くまでの道筋はさらに多様です。若手・中堅期のキャリアとして、以下のようなパスが考えられます。
新卒入社後、経営企画部門に配属されるケースでは、最初の数年間は経営計画の策定補助や会議資料作成などの基礎的な業務を担当します。その後、中期経営計画プロジェクトチームのメンバーやM&A案件の担当者など、より責任ある立場で経験を積みます。30代前半で経営企画のマネージャーとなり、中長期計画の実質的な責任者を務め、40代前後で経営企画部長に就任するというのが一つのパターンです。
あるいは、営業や開発など事業部門でキャリアをスタートし、20代後半から30代前半で経営企画部門に異動するパターンもあります。現場での経験を活かしつつ、全社的な視点を身につけるため、意図的にこのようなキャリアパスを設計する企業も少なくありません。
また、若手時代に戦略コンサルティングファームで経験を積み、30代前半で事業会社の経営企画部門に転職するという外部からのパスも一般的です。プロジェクト型の仕事に慣れ、戦略フレームワークにも習熟しているため、経営企画部門で即戦力として活躍できる可能性が高いでしょう。
どのパスを選ぶとしても、経営企画部長を目指す若手時代には、以下の経験を意識的に積むことが重要です。まず、数字に強くなるための財務・会計の知識習得、そして実際の予算管理や財務分析の経験。次に、ロジカルシンキングとプレゼンテーション能力の向上。さらに、部門を超えた横断的なプロジェクトへの参加経験。これらの経験と能力が、将来の経営企画部長としての基礎体力となります。
若い時期にMBAなどの経営学修士を取得することも、経営企画部長を目指す上で有効な選択肢です。経営戦略や財務、マーケティングなどを体系的に学ぶことで、ビジネスの全体像を把握する力が養われます。また、留学経験を通じてグローバルな視点も身につけられるでしょう。
経営企画部長という役職は、様々な経験と能力が融合して初めて務まるポジションです。一つだけの正解の道筋はなく、自身の強みや興味に合わせた独自のキャリアパスを描くことが可能です。大切なのは、常に全社的な視点を意識し、自分の担当領域を超えた知識と経験を積極的に吸収していく姿勢ではないでしょうか。
経営企画部長のポジションで働くことで、ビジネスパーソンとして最高レベルの能力開発が期待できます。このポジションで身につくスキルは、その後のキャリアを大きく飛躍させるでしょう。
まず特筆すべきは「戦略的思考力」の養成です。中長期的な視点で市場を分析し、競合との差別化ポイントを見出し、自社のリソースを最適に配分する思考法は、経営企画部でしか体得できない貴重なスキルです。経営企画で培った市場を俯瞰する目は、どんな業界に移っても通用する普遍的な武器となります。例えば、新規事業計画の策定で市場規模を100億円と見積もった際、「なぜその市場は成長するのか」「競合はどう出てくるか」「参入障壁は何か」といった多角的な分析能力は、あらゆるビジネスシーンで活きてきます。
次に「数値分析力」も飛躍的に向上します。財務諸表を読み解く力はもちろん、売上・利益・キャッシュフローの予測モデル構築、投資判断のためのDCF分析やIRR計算なども習得できます。「この投資案件は5年で投資回収可能か」「新事業のブレークイーブンポイントはどこか」といった、経営判断に直結する数字の扱いに習熟することで、ビジネスにおける説得力と信頼性が格段に高まります。
また「調整力とリーダーシップ」も磨かれます。経営企画部長は、各事業部門・機能部門との協業が不可欠です。時には対立する利害関係の間に立ち、全体最適の視点で調整を図る必要があります。「営業部門は売上拡大を優先したがるが、利益率や資本効率も考慮しなければならない」—そんな場面で、データと論理に基づきながらも、各部門の事情に配慮した解決策を導き出す能力は、将来のトップマネジメントに必須の資質です。
そして「プレゼンテーション能力」も飛躍的に向上します。経営会議や取締役会で複雑な内容を簡潔に伝え、意思決定を促すためのコミュニケーション技術は、まさに経営企画部長の真骨頂です。「なぜこの戦略が必要か」「どんなリスクがあり、どう対処するか」を、経営層を納得させるレベルで表現できるようになります。
このようなスキルを身につけた経営企画部長の次のキャリアステップは実に多様です。まず一つの道は、事業部門のトップへの異動です。全社視点を持ちながら特定事業の成長を牽引するポジションに就くことで、将来の経営幹部候補としての経験を積むことができます。また、子会社社長への抜擢も珍しくありません。経営企画で培った戦略思考を活かして一つの会社を丸ごと率いる機会が得られるのです。
もちろん、最終的にはCEOや取締役などの経営トップを目指すことも視野に入ります。実際、多くの企業で経営企画出身の役員が多いのは、このポジションが経営者育成の登竜門となっているからです。経営企画部長という役職は、キャリアの集大成であると同時に、更なる飛躍への踏み台なのです。