経理・財務・会計ファイナンス人材のためのキャリア名鑑
ESG・非財務情報で企業価値を創出
企業の持続可能性を、数字と信頼で支えるプロフェッショナル
500万円~1,500万円
※業績や評価によって変動
25歳~45歳
今、世界中の企業がサステナビリティ経営の旗を掲げて経済活動のあり方を大きく変えています。Big4系監査法人のサステナビリティ部門は、その最前線で上場企業の未来を支えるプロフェッショナルです。ESG投資の拡大やサステナビリティ開示規制の強化、カーボンニュートラルや人的資本経営といった社会要請の高まりのなか、貴重な専門性を武器に企業価値を高めるプロフェッショナルです。
主な業務は、ESG・非財務情報の開示サポート、サステナビリティ経営の方針立案・推進コンサルティング、マテリアリティ(重要課題)特定支援など多岐にわたります。さらに、サステナビリティレポートや統合報告書、GHG排出量、人的資本情報などの信頼性が重要な非財務情報に対して、アシュアランス(保証)業務や監査を担当します。国際的なガイドライン(IFRSサステナビリティ基準、GRI、TCFD、CDP、SASB等)といった世界標準に精通し、複雑なプロジェクトをリードする毎日は、挑戦の連続です。
加えて、グローバル企業へのアドバイザリーでは、各国の法規制や産業特性の違いを調査・分析し、どのESG情報を、どんな粒度で、どのタイミングで開示すべきか、グローバル本社と国内事業会社の整合はどう取るかなどの実務的課題を整理します。その過程では、IR部門や経営企画、法務、サプライチェーン部門や現場担当者など多彩な関係者と協働し、プロジェクトを成功に導くコミュニケーション力とリーダーシップが磨かれる現場です。
例えば、CO2排出量算定・削減目標設定プロジェクトの場合、まず、国際基準(GHGプロトコル等)によるサプライヤー調査や、ITシステム連携による実数値把握を設計します。集めたデータをもとに、第三者視点でのレビューや潜在的リスクのシミュレーション、開示内容の改善提案を行います。不備や齟齬があれば、社内外関係者と調整し、より信頼性の高いサステナビリティ情報へブラッシュアップします。
リスク対策としては、誤開示によるレピュテーションリスク、基準変更時の追随リスク、サプライチェーン全体への波及リスクなどを常に念頭に置く必要があります。国際規制動向のウォッチや、過去の監査事例からの知見の共有、社内外トレーニングなど、変化の激しいこの分野ならではのリスクマネジメントスキルも必須です。
このように、Big4系監査法人のサステナビリティ部門は、世界規模で社会を良くするダイナミックな舞台。誰もが未来志向で挑戦し、サステナビリティ領域で自らのキャリアと社会的意義を両立させることができます。
Big4系監査法人のサステナビリティ部門で働く魅力は、なんといっても社会変革を自らの手で推進できる実感とダイナミックなグローバルプロジェクトに関われる成長環境にあります。この分野は最先端領域のため、ESG・サステナビリティという答えのない問いに向き合う、知的チャレンジの連続です。
サステナブル経営の核となる非財務データの信頼性を高め、企業価値向上・中長期成長に直結する機会を創出できること、それ自体が大きなやりがいです。国際標準や制度改正の流れはめまぐるしく、進化が止まることはありません。そんな変化のなかで、業界の最前線に立ち、新たな開示文化を創造していくプロセスこそ、このポジションの唯一無二の醍醐味です。
サステナビリティの専門家は、ESG領域で世界中の企業と経営陣をクライアントとし、経営戦略やリスクマネジメントに深くコミットします。コーポレートガバナンスやSDGs、気候変動・人権・ダイバーシティ推進など、社会的課題への解決提案を専門家の立場で主導できるのは、まさにBig4監査法人のサステナビリティ部門ならではのスケール感です。
さらに、プロジェクトごとに多様な専門家とチームを組み、グローバル案件にも日本企業から直接アプローチできる点は魅力的です。海外拠点の同僚と英語でやりとりする日々は、ワールドワイドなネットワーク構築やキャリアアップにも直結します。
社会へのインパクトも絶大です。監査法人のESG保証サービスやコンサルティングを通じ、気候変動対策や人権リスク低減など、持続可能な社会の実現にリアルに貢献できるからこそ、高い社会的意義や誇りを感じられます。環境や社会貢献に関心がある方にとって、自分の専門性が未来の社会に直接つながっていく実感が持てる職種です。
現代ビジネス界は、サステナビリティを無視しては語れません。ESG開示のイニシアティブを担うこのポジションは、多様な業界・企業と向き合い、自らも成長し続けるからこそ、長く第一線で活躍するチャンスにあふれています。
ここでは、日本のBig4系監査法人のサステナビリティ部門のメンバーが3月決算、多国籍クライアントを担当、サステナビリティ監査・コンサル業務の両方に携わるという前提で、年間スケジュールの例をご紹介します。
サステナビリティ部門最大の要とも言えるのが、ESGデータや非財務情報の第三者保証(アシュアランス)です。企業が公表する温室効果ガス排出量や人的資本関連データなどの正確性、網羅性、妥当性を多面的にチェックし、必要に応じて現地実査やサンプル調査、ITシステムの検証も行います。不自然な数値変動や基準誤適用、グリーンウォッシングリスクを見抜く洞察力が問われるため、非常に高度な専門性と責任感が必要です。アシュアランス業務を通じて企業・投資家・社会にリアルな信頼性を届ける、それがこの職種の基盤です。
企業が持続可能な未来を目指すには、何が重要な課題(マテリアリティ)で、どこに資源を集中すべきか明確にすることが重要です。業界動向、社会的期待、規制動向などをリサーチし、クライアントと対話を重ねながら、本当に開示すべき情報と優先課題を抽出します。ときには経営層へのプレゼンや、新規サステナビリティ方針の作成支援も担当します。持続可能な成長戦略を実現する道しるべ役としての働きは、大きな社会的意義を持っています。
刻一刻とアップデートされるIFRSサステナビリティ開示基準、GRI、CDP、TCFD、TNFD等の国際レギュレーションを正しく把握し、いち早く実務へ反映させる能力も不可欠です。グローバル案件では、各国法規制や欧米最新トレンド、サプライチェーンリスクまで網羅的に調査します。クライアント企業が世界標準から遅れないように先回りでリスク分析・情報共有を行い、常に最先端のサービスを提供することが社会的責任であり最大の強みです。
サステナビリティ部門の報酬は、その市場価値や成長余地の広さ、グローバル競争力の高さに反映されています。ここでは、報酬の全体像と構成、変動要因、近年のトレンドについて詳しくご説明します。
このように、挑戦・専門性・国際性を磨き続けるほど報酬も連動してアップするダイナミックな業界です。金銭的にも、やりがい・成長実感的にも充実度が高い環境が用意されています。
サステナビリティの最前線では、社会全体をより良くしたいという強い思いが推進力となります。環境課題や人権、ダイバーシティ等に心から関心を持ち、問題解決に挑む姿勢が日々の実務に生かされます。
ESG情報は膨大かつ複雑です。複数の国際基準を横断比較したうえで、企業にとって何が本質的リスクか、どの情報が開示価値が高いかを論理的に見極める冷静さ、多角的な視野が求められます。
国際ガイドラインのアップデート、クライアントの方針転換、社会情勢変化など、サステナビリティ領域は絶えず進化しています。これを柔軟に受け入れ、前向きに変化を楽しむ姿勢が問われます。
多様なバックグランドのメンバー・クライアントと協働する以上、自分の考えを発信・調整し、タフな交渉や調整をリードできる主体性は不可欠です。一方でチームで成果を出す協調性も重要となります。
統合報告書の保証、人的資本データ対応、カーボンニュートラル支援など新領域へのチャレンジは尽きません。未知のテーマや困難な課題にともに取り組む好奇心が、成長の源泉です。
ESG開示は社会的信頼性が生命線です。その信頼を守る強い責任感・誠実さも必須になります。疑義があれば臆せず指摘し、常に正しい行動か?を自問自答します。
これらのマインドを持った方は、日々進化する現場で活躍し続けやすいでしょう。挑戦・変化を楽しめる心、社会に貢献したいという情熱をぜひ武器にしてください。
国際基準(IFRSサステナビリティ、GRI、TCFD等)やカーボン会計、人的資本開示等について体系的に理解する力が求められます。監査基準の読解力・応用力も不可欠です。
非財務情報も数字で管理する時代です。会計知識や監査手法、ExcelやBIツールでのデータ分析スキルが現場の大きな武器になります。
海外拠点や多国籍クライアント、グローバル案件のやりとりには英語での議論とドキュメント作成が必要になります。異文化を理解しつつ正確に伝える力が重要です。
サステナビリティ情報のデジタル化が進んでおり、各種ITツール・システム連携、AI活用への関心・適応力が求められます。
複数案件の同時進行・クライアント調整・タイムマネジメントなど、プロジェクト推進スキルは大切です。リーダー経験があると尚良いです。
専門的な内容でも、わかりやすい説明資料やレポートを作成する構成力、経営層や多様な関係者向けに自信を持って発信できるプレゼンスキルも必須です。
これらのスキルセットをバランス良く磨けば、どんな変化にも対応できるサステナビリティのプロとしての道が大きく開けていきます。
サステナビリティ部門にたどり着く道は、近年ますます多様化しています。直前のポジションとしては、監査法人内部の他部門(会計監査部、リスクアドバイザリー部門)、もしくはコンサルティングファーム/ESGコンサル会社のサステナビリティ関連職、あるいは事業会社のCSR/サステナビリティ推進部門からの転職も多い傾向にあります。
例えば、監査法人内異動であれば会計監査実務を経験しつつ、ESG関連プロジェクトを兼任するかたちが多いです。マネージャーに昇格するタイミングでサステナビリティ部門を志望、または社内公募制度を活用するケースです。他方、ESG・サステナビリティ関係の専門コンサルを経て、グローバル案件への挑戦を求めてBig4へ転職することも一般的です。事業会社でサステナビリティレポート作成やTCFD/人的資本等のプロジェクト経験を実績に転職する方も多数います。
さらに、大学院・ビジネススクールでESGや環境分野を専門的に学び、その後直接Big4の新卒/第二新卒採用ルートで入社する道も選択肢となっています。新卒の場合、会計・リスク・コンサル部門で基礎力をつけ、3〜5年目にサステナビリティ領域へ社内ローテーションし、専門性を磨く方がスタンダードです。
若手のうちに携わっておくと有利な職種・業務としては、以下のような経験が、将来サステナビリティ領域のプロとして活躍する素地となります。
今どの道筋に立っている方でも、志と積み重ね次第で十分たどり着ける職種です。
Big4監査法人のサステナビリティ部門で培われるスキル・経験は、グローバル経営と社会課題解決の両方で通用する最前線の武器です。ここで得られるESG/非財務情報に関する知識、国際基準対応力、多様な関係者とのコミュニケーション・プロジェクト推進力は、今後10年にわたりあらゆる産業・経営領域で不可欠となるでしょう。
この職種自体がESG/サステナビリティ業界の最高峰ではありますが、社内昇進ではディレクター・パートナーへと進む道が開かれます。パートナーになれば、対外的な業界団体や規制当局との連携窓口を担うこともあります。コンサル出身なら外資・戦略ファームや海外提携先への転身、事業会社でのサステナビリティ責任者(CSO/CRO)やESG専門役員(人的資本責任者など)に抜擢されるケースも多数見受けられます。
加えて、プロフェッショナルネットワークは国内外で幅広く築けるため、将来的に国際機関や金融機関、NPO・NGOのエグゼクティブ職への道も拓けています。業界横断でサステナビリティマネジメントやリスク・CSR責任者、独立コンサルとしても需要は拡大中です。
サステナビリティ部門の実務を通じて鍛えられるのは、以下の3つです。
これらを武器に、今はまだ存在しない次世代の社会的中核職種 -たとえばサステナビリティ技術アドバイザー、人的資本経営責任者などにも挑戦できる可能性があります。
今後ますます社会的存在感を増す可能性が高い未来型職種として、自分次第で多様なキャリアパスが拓けます。グローバルな舞台で走り続けたい方には、とびきり刺激的な未来が待っています。