学習コラム

実務コース 経理実務コース #06月次業務 - 給与計算・残業代計算

2022/01/27
この記事の目次

1.はじめに

「経理」の仕事については、こちらの記事でご紹介させていただきました。

経理業務は、日次・月次・年次・都度の大きく4つに分けられるとお話しいたしました。


前回までは日次業務を見てきましたが、今回から月次業務を見ていきます。

今回は、給与計算・残業代計算について具体的に見ていきたいと思います。




2.総論

給与計算・残業代計算は大企業であれば人事部が行ったり、勤務表を作成して社労士に丸投げしたりということも多いと思います。

しかし、経理部を1人でやっている方は計算が必要なので、給与計算の概算について説明していきます。


まず、賃金体系について確認しましょう。

以下の図のように、給料(賃金)は大きく分けると月次給与賞与の2つになります。



今回の給与計算では月次給与を対象とします(賞与については第10回で講義予定となります)。


以下では、基本給・諸手当・不就労控除などの「給与計算」と時間外手当・深夜手当・休日手当などの割増賃金となる「残業手当」について分けて説明していきます。

  


3.給与計算

給与計算は以下の4つのポイントを押さえることが重要です。


(1)各支給項目の理解


はじめに、基本給と諸手当について説明します。


基本給とは、一定期間従業員が労働することにより支払う固定の給料のことです。


一方諸手当とは、基本給の他に諸費用として任意で支払われる給料のことです。

諸手当には、役職手当・通勤手当・住宅手当・家族手当・別居手当・子女教育手当などが挙げられますが、会社によって様々です。


1番多いのは、会社内の役職に応じて支給する給与である役職手当だと思います。


なお、役職手当や住宅手当については所得税が課税されますが、通勤手当に関しては一定限度額まで所得税が非課税な点に注意が必要です(例:毎月の運賃等の額が150,000円まで)。


通勤手当は従業員が徒歩通勤なのに電車通勤と偽ったり、近くに住んでいるのに遠くからの電車賃を請求するなど不正受給がされやすいため、予防策を講じる必要があります。


防止策としては、就業規則や給与規定でルールを定めたり、通勤手当支給申請書を提出してもらったり、定期券のコピー提出を求めたりすることが挙げられます。


 不正受給が発覚した場合は、過払い分を原則10年に遡って請求することが可能です。

会社から訴えられ、何百万円の返還請求と懲役刑を命じられたという事例が実際にあるので、絶対に軽い気持ちでやらないようにしましょう。


次に、就労控除について説明します。


就労控除とは、従業員が労働しなかった部分の賃金は控除するという決まりで、ノーワークノーペイの原則とも言われます。



(2)締め日と支払日の決定


給与の支払い方法は、月給・日給・時間給など様々ありますが、今回説明する際には月給ベースとします。

締め日と支払日の間隔を適度にあけてその間に正確に給与計算を実施しましょう。


例えば、当月15日締め25日払いという会社があったとします。

以下の図のようになります。



給与計算期間に残業代や出勤日、社会保険料を計算したりする必要があるため、会社の余力によって決めるようにしましょう。

締め日から給与支払日までの給与計算期間を適切に設定する必要があります。


なお、支給日が休日の場合は支給日前の平日に支給できるよう気をつけましょう。



(3)賃金支払いの諸原則の理解


労働基準法第1条によると、労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすものでなければなりません。


更に以下のように賃金支払いの5原則が定められています。




(4)給与の振込みの留意事項


はじめに、名称を理解しましょう。


◆総支給額:月次給与、基本給など全てを含めたもののこと

◆控除額:税金(所得税・住民税)や社会保険料(健康保険料)など

(第7回目講義にて解説します)

◆支給額(手取額):振込金額


それぞれ次のような関係になります。


総支給額ー控除額=支給額(手取額)



次に、振り込み方法について解説していきます。


◆個別振込:従業員が少ない場合は対応可能

◆総合振込:従業員が多くなってくると個別振込の場合、手間と振込手数料が増大のため、まとめて処理



4.残業代の計算


残業代の計算は以下のような流れで行います。


残業代=残業時間×時給×割増率


残業代の計算は以下の3つのポイントを押さえることが重要です。



(1)区分ごとの残業時間の把握


勤怠管理表で区分ごとに残業時間を特定します。

割増賃金にも所定外労働、時間外労働、深夜労働、休日労働など様々な区分があるため、残業時間を区分して管理する必要があります。




(2)時給の算定


下記の計算式で時給を算定します。


時給=①基礎となる賃金(月)÷②所定労働時間(月)


①:基本給+諸手当(但し、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超えるごとに支払われる賃金を除く)

②:年間労働日数(但し、365日−年間休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月



(3)割増率の確認 


労基法に基づき割増賃金の額を算定します。


◆法定時間外労働:25%増の割増賃金

◆法定休日:35%増の割増賃金

◆深夜労働(22時〜):25%増の割増賃金

◆1か月60時間超の時間外労働:50%以上の割増率で計算する(注1,2)


(注1)2021年11月時点では、大企業のみの適用であり、中小企業には猶予措置が設けられています。

(注2)2023年4月以降は、猶予措置が廃止され、中小企業も適用となります。


【参考】猶予措置のある中小企業の定義



5.まとめ


いかがでしたか。

給与計算・残業代計算について理解は深まりましたか。


給与振込の際に、誤って別の社員に振り込んでしまったり振込金額を誤って過払いしてしまったり、ということは少なくないと思います。

自分にとっては小さなミスかもしれませんが、その相手にとっては大きなミスと感じます。

給与振込はダブルチェックを重ねるなど、正確に行うようにしましょう。


このコラムは、実務コース 経理実務コース#06月次業務 - 給与計算・残業代計算を元に作成しています。

より詳細が気になるという方や、文字より音声の方が理解が深まるという方は、ぜひ本編もご覧ください。

以上、実務コース 経理実務コース#06月次業務 - 給与計算・残業代計算でした。



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