1.はじめに
前回は、基礎からわかる確定申告のやり方!【入門①】にて、確定申告の仕組み、期日や対象者について解説してきました。
今回は、具体的な手続きについて解説していきたいと思います。
申告に必要な書類、使用する申告用紙、3つの提出方法、納税や還付の手続きについて見ていきましょう!
2.申告に必要な書類

申告に必要となる具体的な書類は下の表の通りです。



※1 給与所得者が既に年末調整で控除を受けている場合は不要です。
※2 ふるさと納税ワンストップ特例の適用を受けた方が確定申告を行う場合には、ワンストップ特例の適用を受けることができませんので、「寄附金受領証明書」をご持参ください。
基本的には、①マイナンバーカードや昨年の納税情報など基本情報に関するもの、②源泉徴収票、収入金額及び必要経費がわかる書類など所得に関するもの、③証明書など所得控除に関するものが必要となります。該当するものがあれば、書類を用意しましょう。
なおe-Taxでは、生命保険料控除の証明書などは、その記載内容(生命保険会社などの名称、支払金額等)を入力して送信することにより、提出又は提示を省略することができます(法定申告期限から5年間、税務署から書類の提出又は提示を求められることがあります。)。
マイナンバーに関する本人確認書類についても、e-Taxで送信すれば提示又は写しの提出が不要です。
📍POINT
収入関係や所得控除関係については、該当するものがないか予めチェックしておきましょう。
3.使用する申告用紙

確定申告書の申告用紙は①確定申告書A、②確定申告書B、③分離課税用と3つの種類があります。
一体どれを使えばいいか迷う人も少なくないでしょう。
税務署に折角取りに行ったのに、用紙を間違えてしまってはとても残念です。
そもそも申告書を入手するには①税務署に取りにいく、②郵送してもらう、③ダウンロードする、3つの方法があります。
入手する前に必要な用紙を確認し、誤った用紙を入手してしまわないようにしましょう!
まずは、具体的な用紙の種類です。
【確定申告書A】

【確定申告書B】

【分離課税用】

次に、上記の確定申告書の対象者は、それぞれどんな人たちなのでしょうか。
詳しく見ていきましょう!
【確定申告書A】
主な対象者は、会社員・年金受給者です。
※なお国税庁HPでは、「申告する所得が給与所得や公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない方が使用できます。」と記載されています。
【確定申告書B】
主な対象者は、個人事業主・不動産所得がある人です。
※なお国税庁HPでは、「所得の種類にかかわらず、どなたも使用できます。※前年分から繰り越された損失額を本年分から差し引く方や変動所得や臨時所得について平均課税を選択する方は申告書Bを使用します。」と記載されています。
【分離課税用】
主な対象者は、不動産・株等を売却した人です。
※なお国税庁HPでは、「土地建物等の譲渡所得がある方、株式等の譲渡所得等がある方、申告分離課税の上場株式等の配当所得等がある方、申告分離課税の先物取引の雑所得等がある方、山林所得や退職所得がある方」と記載されています。
📍POINT
該当する所得によって申告書が異なるため、気をつけましょう!
4.申告書の提出方法

申告書の提出方法は全部で以下の3つです。

※1 通信日付印を提出日とみなします。締切ギリギリとなってしまった場合は、通信日付印が提出日であれば問題がないので、簡易書留などを利用すると良いでしょう。また、確定申告書は「信書」となるため、ゆうパックや宅急便で送ることはできません。
※2 税務署の時間外収受箱への投函により、提出することもできます。
近年は、デジタル化や感染症拡大防止の観点から①のe-Taxで申告する人が増加する傾向にあります。実際に、国税庁の調査(令和元年度における e-Tax の利用状況等について)によれば、令和元年度の確定申告で59.9%の人がe-Taxを利用しているという結果も出ています。
📍POINT
いずれの提出方法でも提出期日を過ぎないよう、事前準備を行っておきましょう。
※提出期限を過ぎた場合には、「期限後申告」として扱われ、「無申告加算税」や「延滞税」が課せられる可能性があります。
5.納税や還付の手続き

①納税の手続き
申告書を提出した後、税務署から納付書や納税通知書等のお知らせが送付されることはありません
納付期限である3月15日までに、各自で納付をする必要があります。
主に以下の5つの方法があります。

非対面の「キャッシュレス納付」には、①振替納税、②e-Taxを利用して電子納税、③クレジットカード納付の3つの種類があります。
①は、預貯金口座からの自動振替により納付する方法です。この方法は、事前に税務署又は希望する預貯金口座の金融機関へ専用の依頼書を提出していただくか、e-Taxにより依頼書を提出する必要があります。
②は、国税の納付手続を自宅やオフィスからインターネットを経由して電子的に行う手続です。これにより、税務署や金融機関に赴いて納付する必要がありません。
③は、インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税庁長官が指定した納付受託者(トヨタファイナンス株式会社)へ、国税の納付の立替払いを委託することにより国税を納付する手続です。支払の金額によって手数料が異なるので注意が必要です。
その他には、④QRコードを利⽤したコンビニ納付、⑤窓口納付があります。
④は、スマートフォンやご自宅等のパソコンなどで、国税庁ホームページで提供する作成システム等から納付に必要な情報をQRコードとして作成し、コンビニエンスストアで納付する方法です。
⑤は、金融機関又は所轄税務署で納付する方法です。
📍POINT
非対面の「キャッシュレス納付」は①⾦融機関や税務署等の窓⼝に行く必要がなく、②⾃宅や事務所等手続ができるという点で便利です。
②還付の手続き
還付金の受取りは①預貯金口座への振込みにより受け取る方法、②最寄りのゆうちょ銀行各店舗又は郵便局に出向いて受け取る方法の2つがあります。
①の方法は、指定された金融機関の預貯金口座に還付金が直接振り込まれるため、大変便利です。
具体的な方法は、確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に、希望の振込先の金融機関名、預貯金の種別及び口座番号(ゆうちょ銀行の場合は、記号番号のみ。)を記載するだけです。
📍POINT
還付の手続きは、預貯金口座への振込みにより受け取る方法によれば、確定申告時に簡単に手続きを行っておくことができます!
なお、還付金の支払手続には、おおむね1か月から1か月半程度の期間を要すると言われています。これは特に、2月・3月の所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税の確定申告期間中は、大量の申告書が提出される時期のためです。
自宅や税理士事務所からe-Tax(電子申告)で提出された還付申告は3週間程度で処理されます(e-Taxで1月・2月に提出された場合は、2~3週間程度で処理されます。)。
「還付の手続きを行ったのに、何故振込みがされないの?」と焦ってしまわないように、予め知っておくと良いと思います。
6.おわりに
いかがだったでしょうか。
働き方の自由度が高まり、フリーランスや副業をしているサラリーマンの方も増えていると思います。
サラリーマンだった時は、税金のことをあまり考えなかったという方も少なくないのではないでしょうか。
死と納税からは逃れられない、という有名な言葉がありますが、死ぬことからも納税からも逃れることはできません。
「今までずっと苦手意識を感じていた」、「今年から確定申告を始める」という方には、『CPAラーニング 税務実務講座 所得税編』で詳しい解説を見ることをお勧めいたします。
以上、基礎からわかる確定申告のやり方!【入門②】〜申告に必要な書類、申告用紙、提出方法、納税や還付の手続きを解説!〜でした。