学習コラム

日商簿記検定3級の大問ごとの対策方法

2022.03.29
この記事の目次

〈目次〉
1.日商簿記検定3級(以下、簿記3級)の出題形式と特徴
  ⑴ 出題形式
  ⑵ 特徴
  ⑶ 解く順番
2.第1問対策
  ⑴ 第1問の基本情報
  ⑵ 定番問題を押さえよう
  ⑶ 問題文を読みながら仕訳しよう
  ⑷ ひっかけ問題に注意!
3. 第2問対策 
  ⑴ 第2問の基本情報
  ⑵ 問題の種類と優先順位
4.第3問対策 
  ⑴ 第3問の基本情報
  ⑵ 解答形式別のポイント
  ⑶ 早く解くコツ
5.まとめ

1.日商簿記検定3級(以下、簿記3級)の出題形式と特徴 

簿記3級は、毎回似たような形式で実施されています。

そのため、各問題への対応を予め意識して学習することが最も重要と言えます。 

⑴ 出題形式


本試験前に必ず各問題の出題内容と配点を確認しておきましょう!
なお、日商簿記検定3級は 60分の時間制限があり、100 点中70点をとれば合格です。

⑵ 特徴

簿記3級の各問は、以下の2つに分類できます。


①【正確性・スピードが求められる】第1問・第3問

②【体系的な理解力が求められる】第2問

①についてはパターンさえ押さえてしまえば、簡単に得点源にできます。第1問はウォーミングアップの仕訳問題、第3問は安定感のある決算問題と言えます。

一方、②については確実に得点を狙えそうな箇所のみを抑えにいくという意識で十分です。つまり、第2問は追加点狙いの福袋問題と言えますね。

②の問題はバリエーション豊富でさまざまなパターンの出題がなされるため「絶対に解こう」と意気込んでしまうとかえって、沼にハマってしまい、時間が足りなくなってしまう可能性があります。

その結果、後に控えていた確実に解けたであろう問題に触れることすらできず、1点足りずに不合格、なんてなったら悔しすぎますよね!

筆者自身、簿記試験及び会計士試験を通じてそういう方を数多く見てきました。

資格試験においては、”合格する”というゴールを見失ってはいけません。

簿記3級に”合格する”というゴールへ最短距離で向かう場合、②の問題は「全て解くのではなく、基本的な論点を抑えにいく」ということが重要なのです。

💡会計士からのアドバイス
学習の優先度は、①>>②ぐらいで意識してOKです。

簿記3級に合格するためには、高得点を狙うというよりは、70点以上を確実に取ることにつきます。つまり、①の難易度が低い問題と②の基本的な論点をいかに落とさないかが肝要となるのです!

【補足】受験者データ(日本商工会議所HPより) 

(注)155 回はコロナウイルス感染拡大の影響で中止 

【関連記事】

簿記2級3級の合格率は何%?~ネット試験と統一試験の難易度の違いも考察~

⑶ 解く順番

鉄則ではありませんが成果を出し易い方法として、次のような順番をおすすめしたいです。

第1問と第3問だけで合計80点もあるので、最初に解くべきだとおすすめできます。

また、時間配分は第1問と第3問で合計45分くらいかけて、残り15分で第2問に取り組めると良いです。

第2問に時間を残そうという意識が大事になります。

3級合格の鍵はただ一つです。

それは、第2問に変に固執せず、第1問と第3問の2つの問題を攻略することです。

それでは、次の章以降で大問ごとの対策方法について見ていきましょう!

2.第1問対策

⑴ 第1問の基本情報



「1仕訳1分以内」を目標に解きたい!

第1問では、仕訳問題が15問出題されます。しかも、各問3点も配点されています。
つまり、第1問だけで45点分の配点があるため、この第1問である程度の得点を稼ぐことが必須と言えるでしょう。毎回難しい問題が2問程度出題されていることを鑑みると、「確実に13問は正答する」という意識を持つと良いでしょう。


⑵ 定番問題を押さえよう


日商簿記3級は60分の制限時間がありますが、60分という時間は問題を解いてみると想像以上に短いです。
時間は有限なので、優先順位が非常に重要になってきます。

まずは、日商簿記3級の定番問題を押さえておきましょう。
定番問題と攻略ポイントは、以下になります。




上記の他にも、時々以下の論点が出題されます。

・現金預金取引(引き出し・入金、現金過不足)
・物件の貸借取引、株の発行
・利益剰余金の配当処分

がたまに出題される論点としてあります。
時間に余裕がある方は、ここも押さえられると尚よいですね。

 【参考】過去の出題実績 

ちなみに、仕訳の対策は第3問の点数向上にも繋がります。
過度にヤマは張らずに、満遍なく学習するように意識しましょう。

⑶ 問題文を読みながら仕訳しよう

先に勘定科目を置いてから数字を埋めていくという意識が大事です。
例えば、次のような問題があったとします。

【問題】
商品(原価350,000円)を500,000円で販売し、代金のうち200,000円は注文時に受け取った手付金を充当し、残額は先方振出の小切手で受け取った。

【解き方】
・まず、問題文を読みながら取引で変動した勘定科目(①売上、②前受金、③現金)を書きましょう。
・次に、もう一度問題文を読み変動した金額(500,000、200,000、300,000)を埋めましょう。



⑷ ひっかけ問題に注意!

日商簿記には他の資格試験と比較して特有のひっかけ問題があるので、注意しましょう。
ここでは、よくある3つのひっかけを紹介します。

①過去の取引説明
過去の取引説明が長々と記載されている場合が多いです。
「・・・だったが、本日〜」と書いてあったら、本日以降に書いてある内容が解答すべき取引です。
補足情報を参考に答えを導き出すことは多いですが、必ずしも解答に直結する情報とは限りません。

②先入観
例えば、「販売用のパソコンを購入し、代金は後日支払うこととした。なお、PC販売店を営んでいる。」という問題が出題された場合、「パソコン=備品」と先入観を持ってはいけません。PC販売業にとってのパソコンは商品です。
また、商品代金の未払いは「買掛金」と判断しましょう。


③簡単すぎる問題
「こんな簡単な問題が出題されるはずがない!これはひっかけだ!」と思わせるひっかけです。
疑心暗鬼にならず、素直に答えて大丈夫です。


💡会計士からのアドバイス

仕訳に用いる勘定科目について、絶対的なものはないため、皆さんが普段使用しているテキストや過去問とは異なることがあります。そんな時は、焦らずに問題文の勘定科目をチェックしながら解答していってくださいね!

3. 第2問対策 

⑴ 第2問の基本情報

捨てるのはもったいない!部分点で稼ごう!


第2問に対して不安や苦手意識を抱く方が多いと思いますが、そんなに心配する必要はありません。配点があまり大きくなく、部分点を十分に狙えるからです。

また、解く順番を最後にした方がよいとおすすめしている理由も同様で、配点があまり大きくない割にボリュームが多い傾向にあるからです。

出題形式のバリエーションが多いため、見たことのある問題は出題される可能性が低いと考えておいてOKです。

基本的に「数字を移す作業」が多いため、問題文を冷静に読み解き、整合する箇所を順序立てて探していくことが重要となります。機械的に問題を解くのではなく、普段から数字の流れ・帳簿の仕組みを意識しながら学習することがこの第2問で得点するためのキーポイントになります。



⑵ 問題の種類と優先順位



問題の種類としては先ほどお伝えした通り、①補助簿の選択、②勘定記入、③語句選択の3つがあります。

①補助簿の選択
出たらラッキーな問題です。
例えば、「商品を仕入れ、代金は掛けとした」などの取引が書いてあるので、どの補助簿に記帳が必要か考え、チェックボックスにチェックを入れていきます。1取引すべてチェックが合っていれば正解というものです。
このとき、計算用紙が大いに活用できます。
取引からイメージできる仕訳をメモし、仕訳に出てきた勘定科目を記帳する補助簿にチェックしましょう!
残り時間が少ないときは、取引を読みながらチェックしていっても良いです。

②勘定記入
よく出る問題です。
文章や資料が与えられ、T勘定を完成させなさいという問題です。
以下がバリエーションになります。

時間がなくても部分点を狙って、T勘定を1つずつ埋めていきましょう。
なお、より詳細な解き方を知りたいという方は、ネット試験対策コース 日商簿記3級#03第2問対策をご覧ください(ご登録はこちら)。

③語句選択
普段の学習の質が問われます。
語句選択ができるかどうかは、普段から疑問を持ちながら学習できているかどうかにかかってきます。丸暗記の学習をしてしまうと、得点するのが難しいです。

【参考】過去の出題実績



💡会計士からのアドバイス

分からない問題が出題されても空欄のままにせず、目についた金額を埋めるようにしましょう!
なぜなら、勘定記入や帳簿記入の場合、複雑な計算は必要とならないケースが多いため、ラッキーパンチで点数を稼げる可能性があるからです。

4.第3問対策  

⑴ 第3問の基本情報


合否が決まる!満点を取りに行く気持ちで!

第3問では、精算表の作成問題や財務諸表作成問題が出題される可能性が高いです。
これらの問題で得点するためには、決算整理前の残高試算表に対し、「決算整理仕訳」を適切に処理して、決算整理後の残高を導き出せるスキルが必要となります。

そのため、『「決算整理仕訳」を反射的にできるようにすること』が優先的に行うべき対策です。

⑵ 解答形式別のポイント



決算でやることは同じです。決算整理をする「前」の残高を参考に、当期に計上されるべき金額を計上するための”決算整理”を行うことに尽きます。
解答形式別のポイントを解説する前に、そもそも決算整理事項の概要を見ていきましょう。


決算整理事項は大きく次の2パターンに分かれます。



このうち、記帳漏れ、訂正処理や売上原価の算定、減価償却、経過勘定は、注意するポイントがあります。
詳細は、ネット試験対策コース 日商簿記3級#04第3問対策をご覧ください(ご登録はこちら)。

前置きが長くなりましたが、以下で3つの解答形式別にポイントを見ていきたいと思います。

①精算表
優先順位は「」です。
メリットは、修正記入欄があるため、決算整理仕訳をメモする必要がないことです。また、書き込みができないネット試験において非常に解きやすく感じます。


一方、デメリットは、②③に比べて時間と手間がかかることです。
修正記入欄も採点箇所になりうるため、修正記入欄+残高覧の2箇所を埋める必要があるからです。

②財務諸表
優先順位は「」です。
メリットは、修正記入欄がないため、入力の手間が省けて早く解き終えることができることです。

一方、デメリットは、結論だけを書くので、決算整理仕訳をどうしても書きたい!という人にとっては混乱しやすい問題ということです。また、勘定科目ではなく、表示科目で記載しなければいけない場合もあります。

③決算整理後残高試算表
優先順位は「」です。
メリットは、財務諸表と同じく修正記入欄がないため、入力の手間が省けて早く解き終えることができることです。また、財務諸表と異なり、勘定科目の一覧になっているので、表現も変える必要がなく気楽に解くことができます。

一方、デメリットは、手間がかかってしまう可能性があることです。
効率的に検算を行わないと想像以上の手間を要してしまいます。なぜなら、利益を入力する欄がないため、検算をしていない場合は貸借の合計額を一気に計算しなければならなくなるからです。効率的に検算することを心掛けましょう。



⑶ 早く解くコツ



今やっている解き方をベースに”1秒でも問題を解くのにかかっている時間を削る!”という意識を常に持って学習に取り組みましょう!

①仕訳を書くかどうか
精算表以外のパターンの問題では、決算整理仕訳について、頭の中で仕訳をイメージしながら、紙に書かず解答欄に直接入力する方法がお勧めです!
決算整理仕訳はほぼ毎回パターンが同じなので、演習を重ねて、書くのが面倒に感じてしまうほど仕訳をイメージできるようになるとベストです。また、仕訳をメモするのであれば、最大限勘定科目名などを短縮して書くことをおすすめします。

②一気に記入するか都度記入するか
もし、仕訳を紙にメモする場合は、1つの仕訳が終わったらすぐに解答欄に入力する方法がおすすめです!
すべての仕訳を書き出してから一気に解答欄に入力する方法を選ぶと、数字をただ打ち込むという単純作業になり、解答欄への入力ミスが生まれやすいです。一方、仕訳をした直後に解答欄に入力すると、頭の中で1つの取引にのみ集中できている状態を維持できるため、ミスが起きにくくなります。
加えて、万が一制限時間が迫ってきても、解答欄にはある程度埋まっているので焦りにくいという点もメリットとして挙げられます。

以上より、①仕訳を紙に書かずに②都度解答欄を埋めていく、方法が1番早いと言えます。


💡会計士からのアドバイス

分かる範囲で空欄を埋めましょう!
配点は各勘定科目ごとに振られる仕様なので、全部埋められなくても決して意気消沈しないでください。



5.まとめ

第1問対策:問われやすい仕訳を網羅的に覚えていきましょう

第2問対策:普段の学習から、数字の流れや帳簿の仕組みについて理解するように心掛けましょう!

第3問対策:決算整理仕訳を適切に処理できるようにしましょう!

日頃からこの3つを意識して学習することができれば簿記3級合格にグッと近づきます。講義やテキストを用いて効率的に学習していってくださいね。

皆様の合格を心から応援しています。

CPAラーニングでは、簿記講座のみならず会計実務や経理実務、税務実務など会計(経理)人材の皆さんが「学び続ける」ためのコンテンツを無料で配信しております。

CPA会計学院が自信を持って提供する実務家によるコンテンツとなっております。

簿記の学習をきっかけに実務に活かしたいとお考えの方は、この機会にぜひ実務コースもご活用ください。

CPAラーニングのご登録はこちら


\1分で申し込み完了!!/