学習コラム

【初心者経理】企業の各部署と経理の関係

2022/03/10
この記事の目次

1.はじめに


皆さん、こんにちは。


公認会計士で東証一部上場企業経理責任者のろっち(Twitter)です。


初めてcpa learningにコラムを寄稿します。


今回は「企業の各部署」「経理」の関係性について解説していきます。

 

新入社員で経理配属予定の方、経理で働き始めの方、これから経理を志そうとしている方、「経理」は他部署との交流が少なく、黙々と経理処理や決算作業をこなすイメージはありませんか?

昔は私もそう思っていました。

 

ただ、実際に働いてみると、「こんなにも多くの部署と連絡を取り合うものか」と驚く方も多いと思います。

考えてみれば会社のあらゆる活動を会計帳簿として記録に残し、お金の出入りも扱うわけですから当然ですよね。


 

2.企業の業務プロセス


今日では大企業の多くがERP(統合基幹業務システム)を導入しており、その場合は各種マスター、データベースの情報が部門の垣根を超えて共有されています。

実際に、経理部門以外の多くの部署が、関係するモジュールに情報を入力・管理し、それが集約されて企業の会計に繋がります。

 

 

経理パーソンとして、会計の知識のみならず各部署の活動内容や会計との繋がりを知っておくと、業務プロセスへの理解がより深まります。

 

そこで、今回は一般的な製造業の会社をモデルとして、会計・経理と関連の深い代表的な部署を紹介します。

 


3.代表的な部署の紹介


購買部門


企業の生産活動に必要な原材料の調達先の選定や交渉を行う直接購買部門や、それ以外のベンダー全般と交渉を行う間接購買部門等があります。

より良い品質のものをより安価で仕入れるという点も企業の利益に大きく関わるため非常に重要ですし、生産活動が滞らないよう、いざというときのための潜在的な代替供給元の確保等も行います。


経理との連携という点では、ベンダーへの支払い方法や支払い期間の交渉が特に重要です。

例えば、全てのベンダーに対して支払い期間が1ヶ月の場合と3ヶ月の場合では、仕入活動に必要な資金の量が3倍も違いますよね。これが、運転資本(※)の考え方です。 

(※)運転資本(ワーキングキャピタル)とは、企業が日々、事業活動を営んでいくために必要な資金のことで、一般的に「売上債権+たな卸資産-仕入債務」と表現されますが、この指標を小さく、つまり「回収は早く、在庫は必要最低限に、支払いは遅く」することで企業の必要手元資金を少なく、外部からの借入れを最小限に抑えた営業活動が行えます。

 

購買部門の場合は、ベンダーとの交渉を行い、時には手形やファクタリングの仕組みの利用により期日の長い支払い期間を実現するため、支払い方法の相談や仕入先マスターの更新について経理との緊密な連携が必要になります。

 


生産管理部門・製造部門


企業の生産活動を効率的に進めるために、会社の販売計画や、サプライヤーの場合はメーカーの生産計画に基づいて、原材料の仕入から生産活動、出荷までの計画を策定・管理し、製造部門がその計画に沿った製造を行います。


原材料の選定や工程管理を行うため、管理会計における標準原価の算定に深く関係します。

標準原価の算定は、一般的には年間予定生産数量とそれに必要な原材料費、コストセンター別の各工程の作業時間、設備の減価償却費等を基に行われます。


また、適切な生産・出荷計画により、企業の保有在庫を常に最小限に抑えることで、運転資本の最適化にも貢献します。


 

営業部門


顧客に対して製品やサービスを紹介し、それが会社の売上と直接結びつく点で花形部署のイメージのある営業部門です。

その一方で、顧客との契約書の作成や、受注の管理、顧客マスターへの登録や売価の交渉等、会計との結びつきもとても多い部署です。


特に、近年では新収益認識基準の適用により、顧客との取引にかかる契約の存在の有無や取引内容の詳細の確認が必要になる等、会計や監査との接点も増えています。


また、期日までに入金のない顧客や単価・数量に顧客との間で認識の相違が生じている場合には、経理からの情報の提供を受けて、顧客への問い合わせや交渉を行う等、売掛金の回収管理についても重要な役割を果たします。

先に挙げた2部門と同様に顧客からの支払い期間を短くすることにより運転資本の改善への貢献も期待されますが、実務上は得意先により早く支払いを求めることは難しいため、通常は適時の請求書発行や支払いの遅延に対するフォローにより、入金が予定通り行われることをサポートする役割を担うケースが多いです。


 

企画開発部門


活動内容は企業によって様々ですが、主に新製品の開発や、特定の製品に関わらない将来の技術のための先行開発、企画等を行う部署です。


会計との関連では試験研究費の額にかかる税額控除制度を適用する場合に対象となる費用を集計したり、IFRSでの開示を行う会社では一定の条件を満たす支出を費用とせず資産化することが可能なことから、その活動内容を理解することが重要になります。


また、特許権や、国内で開発した技術を利用して海外の関連会社で製造を行う場合にはロイヤリティを通じて費用の回収を行うなど、国際税務でも重要な論点になります。

 


経営企画部門


一定以上の規模の企業、特に上場企業においてよく見られる、経営に関わるあらゆる情報が集まる部門です。


新規事業や撤退、M&A、リストラクチャリング等の重要な意思決定事項に関連する情報を扱う機密性の高い部署であり、中期経営計画の策定や株主総会の企画運営を行うケースも多いです。


会社の重要な意思決定事項を扱うことが多く、財務諸表の開示という点でも関与度合いが非常に高いため、早いタイミングでの経理部門との情報共有がとても重要になります。

経理の部課長クラスになると、会社のCFOや経営企画部門と日常的に連携して業務に取り組みます。


 

4.まとめ

いかがでしょうか?

企業には多くの部署があり、それぞれが異なる業務を行い、それが集まって会社として一つの営業活動を構築していると共に、それらの業務が会計とも繋がりを持っていることがわかりますよね。


上記で紹介した部門の他にも、給与関係では人事部門、係争案件の会計処理は法務部門や品質管理部門等、とにかく多くの部署との繋がりを持ち、会社のあらゆる活動を、会計を通じて記録していくのが経理部門です。

 

時には主張が食い違い部署間で衝突する事もありますが、内部統制を含む会社の業務プロセスの改善や、健全な財務指標の達成、より正確な会計処理のためには他部署とのコミュニケーションが欠かせません。

 

入社してすぐには全ての部署と関与する機会はないかもしれませんが、こういった繋がりを意識して業務に取り組むことが成長にも繋がりますし、何よりもこのコラムを読んで、今までよりも経理業務や会計の全体像がイメージできて、面白いと感じて貰えたら嬉しいです。

 



経理実務の学習を予定されている方は、cpa learningで学習を始め、「経理」として業務への理解を深めてみてください。


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~コラム執筆者紹介~

ろっち

Twitterアカウント 


「公認会計士」として、大手監査法人で10年超勤務。

主に製造業、外資系のアパレル、ホテル等の監査に従事。管理職を4年経験。

事業会社の「経理」に転職し、東証一部上場企業や外資系企業の経理責任者として活躍。


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