公認内部監査人(CIA)

国際的に認知された内部監査のプロフェッショナル資格!
公認内部監査人(CIA: Certified Internal Auditor)は、内部監査のプロフェッショナルであることを証明する国際的な資格です。内部統制やリスク管理に関する専門知識を持つ監査人として、企業や組織の信頼性向上を支える役割を担っています。本記事では、CIA資格について解説します。
目次
資格の概要
CIA資格は、世界130以上の国と地域で認知されている国際資格で、内部監査の専門スキルを証明します。この資格は、内部監査の分野における最も権威のある資格で、企業の財務や業務プロセスを効率的かつ透明に管理するための監査能力を身につけることができます。
主な特徴
- 内部監査の国際的基準: CIAは、内部監査に関する国際基準を理解し、実践するプロフェッショナル資格です。
- 幅広い業界で活躍: 企業全体のリスク管理、内部統制を改善するスキルを活用し、金融、製造業、ITなど多様な業界で求められます。
- 国際資格としての信頼性: グローバルに通用する資格であり、日本国内外で評価されます。
内部監査は、企業の不正防止や透明性向上のために重要な役割を果たします。CIA資格取得者は、専門知識に基づいて効果的な監査を行うことが求められます。
どのような試験制度(受験資格、受験科目、試験頻度、合格率など)
受験資格
CIA試験を受験するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 学歴要件:
- 4年制大学卒業(学士号取得者)または、それと同等の資格。
- 学士号未取得者でも、内部監査に関連する実務経験が5年以上あれば受験が可能です。
- 実務要件:
- 最低2年間の内部監査や関連する業務経験(実務経験の証明が必要)。
- 大学院修士号を持つ場合は1年の経験が必要。
- 推薦状:
- 監査業務の責任者などから推薦状を取得。
受験科目
CIA試験は3科目(3部門)構成です。
- Part 1: 内部監査の基礎
- 内部監査の基本理論、内部統制の役割、リスク管理、職業倫理など。
- Part 2: 内部監査業務の実施
- 監査計画、監査証拠の収集・評価、監査報告作成。
- Part 3: ビジネス知識の応用
- 経済、金融、ITの基礎知識、ガバナンスに関する知識。
試験では、すべて選択問題(英語)で構成され、専門性と実務的な知識が問われます。
試験頻度
試験はオンライン形式で、年間を通して予約可能です(プロメトリック社の試験センターで受験)。自分のペースで試験日を設定できます。
合格率
平均的な合格率は約40〜50%程度とされています。試験範囲が広く、英語で受験するため、しっかりとした準備が必要です。
資格をとるのに必要な期間、勉強時間数
勉強期間と総勉強時間
CIA資格取得に必要な勉強時間は以下が目安です。
- Part 1(基礎): 約2〜3か月(総勉強時間50〜100時間程度)
- Part 2(実務): 約3〜4か月(総勉強時間100〜150時間程度)
- Part 3(応用): 約4〜5か月(総勉強時間150〜200時間程度)
試験全体を通じた総勉強時間は約300〜500時間が目安となります。
資格取得に要する期間は、学習スケジュールによって異なりますが、一般的に1年〜1年半程度で合格を目指す方が多いです。
資格取得のメリット
CIA資格を取得することで以下のメリットが得られます。
国際的な認知度と信頼性
CIAは世界基準の資格であるため、海外の企業や外資系企業でも評価されます。
内部監査の専門知識を獲得
リスク管理や内部統制のプロとして企業内で高く評価されます。自社・グループ会社の業務監査や内部統制評価(J-SOX対応など)の専門性を証明する資格になります。
キャリアアップと年収向上
企業の重要ポジション(監査役、リスクマネージャー)への昇進が期待され、年収アップも目指せます。特に監査法人やコンサルティング会社に勤務の場合は、CIA取得によって大規模・難易度の高い現場のプロジェクトアサインや昇進につながる可能性が高まります。CIA資格保持者は一般的に非保持者より高収入となる傾向があります。
幅広い業務で活用可能
金融、製造、ITなど多様な業界で活用できるスキルを学べるため、キャリアの選択肢が広がります。
向いている人・おすすめしたい人
CIA資格は以下のような方におすすめです。
- 内部監査部門で働きたい人
監査業務に携わるための専門資格として役立ちます。 - 企業のガバナンスやリスク管理に興味がある人
経営の透明性向上に寄与する内部監査の知識を学べます。 - 昇進やキャリアアップを目指している人
企業内でマネジメント業務や内部監査の責任者としての役割を目指す方に最適です。 - 外資系企業や海外で働きたい人
国際的な資格であるため、グローバルなキャリアを築きたい方におすすめです。 - コンプライアンスや内部統制に関心がある方
企業の法律遵守やリスク回避の知識を深めたい方にも向いています。
資格取得後のキャリアパス
CIA資格取得後には以下のキャリアパスが期待できます。
企業内監査役
内部監査部門の責任者や監査役として企業の重要なポジションで働けます。
リスクマネジメント専門職
企業のリスク管理業務を担当し、コンプライアンスやリスク回避を支援する役割を担います。
外資系企業やグローバル企業へ転職
CIA資格は国際的に認知されているため、海外の企業や外資系企業、日系グローバル企業への転職にも有利です。
内部監査の独立コンサルタント
フリーランスとして企業に内部監査のサポートを提供する道もあります。
関連資格へのステップアップ
CIA資格取得後は、さらに高度な公認リスク管理監査人(CRMA)や公認情報システム監査人(CISA)の資格取得への挑戦しステップアップが可能です。
まとめ
公認内部監査人(CIA)は、内部監査の専門スキルを証明するグローバルな国家資格です。内部統制やリスク管理、コンプライアンスに関わる業務を体系的に学べるため、ビジネスパーソンとしてのスキルを磨き、キャリアを広げることができます。
資格取得には一定の努力が必要ですが、そのメリットは非常に大きく、国際的な信頼性を得ながら金融や製造、IT業界をはじめ幅広い分野で活躍することができます。「内部監査のプロフェッショナルを目指したい」「キャリアアップを実現したい」と考えている方は、この機会にCIA資格取得を検討してみてください。
松岡 宏紀
公認会計士
CPAエクセレントパートナーズ株式会社
2007年、公認会計士試験に合格。EY新日本有限責任監査法人にて、監査・アドバイザリー業務に加え、社内外での研修講師や研修プログラムの作成・管理などに従事。現在、CPAエクセレントパートナーズ株式会社において、コンテンツの作成、監修を担当。