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税理士

公開日: | 更新日:
資格紹介

税務分野の専門家として企業や個人をサポート!


税理士資格は、税務代理や税務相談、さらには税務書類の作成を独占業務として担う国家資格です。本記事では、税理士資格について解説します。税理士を目指している方や興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

資格の概要

税理士は、税法や会計の専門知識を活かし、企業や個人の税務全般をサポートするプロフェッショナルです。税務代理、税務相談、税務書類の作成は税理士の独占業務であり、税務業務だけでなく経営アドバイザーとしての役割も果たすことができ、高い専門性と自由度のある仕事として人気があります。

主な業務内容

  • 税務代理:納税者の代理として税務署等に申告・申請などを行う業務
  • 税務相談:税務に関するアドバイス
  • 税務書類の作成:税務申告書や帳簿、決算書の作成
  • 経営コンサルティング:企業や個人の経営戦略のサポート


税理士は、企業の会計や税務を通じて経済活動を支える重要な役割を担う、社会に不可欠な存在です。

試験制度(受験資格、受験科目、試験頻度、合格率など)

受験資格

税理士試験の受験資格は以下のいずれかに該当する必要があります。

  1. 大学で法律学または経済学を専攻し、卒業した者
  2. 短期大学、高等専門学校、専門学校卒業後、一定の実務経験を持つ者
  3. 公認会計士、弁護士資格保有者(税理士試験の科目免除あり)
  4. 実務経験が10年以上ある者

受験には条件を満たしていることを証明する書類の事前提出が必要です。

受験科目

税理士試験は全科目で5科目に合格する必要があります。

  1. 必須科目
    • 簿記論、財務諸表論
  2. 選択必須科目
    • 所得税法、法人税法(どちらかを選択)
  3. 選択科目
    • 相続税法、消費税法、酒税法、事業税、固定資産税、国税徴収法などのうち3科目を選択

科目ごとに合格が認定されるため、複数年かけて合格を目指せるのが特徴です。

試験頻度

税理士試験は年に1回、例年8月に実施されます。

合格率

科目ごとに合格率が異なり、平均で約10〜15%程度とされます。試験の合格基準点は各科目とも満点の60%と定められておりますが、実際には配点は公表されていません。試験範囲が広いため、計画的な勉強が求められます。

資格をとるのに必要な期間、勉強時間数

税理士資格の取得までの期間と勉強時間は、以下が目安です。

  • 勉強期間:平均3〜5年(1年で2科目ずつ合格する場合)
  • 総勉強時間:科目ごとに約500〜1000時間(5科目すべてで2500〜5000時間程度)

税理士試験は科目合格制であるため、自分のペースで取得を目指せます。そのため、仕事と勉強を両立している方も多いです。

資格取得のメリット

税理士資格を取得することで、以下のようなメリットがあります。

独占業務ができる

税務代理や税務書類作成といった独占業務は税理士のみが行えるため、社会的な需要が高いです。

安定した収入と高い年収

税理士の平均年収は約500万円〜1,000万円で、高い収入を得られることが期待されます。独立して成功すれば年収2,000万円以上を目指すことも可能です。

独立開業ができる

税理士資格があれば、自身で事務所を開業し、自由度の高いキャリアを構築できます。クライアントの種類や業務内容は自分で選ぶことが可能です。特に相続・法人税務・資産税などのニッチ分野で高単価案件を選ぶことも可能です。

永続性のあるスキル

税務や会計は経済社会において不可欠な分野であり、資格を持つことで生涯活躍できる可能性があります。また一度取得すれば、更新や登録試験なしで一生使える資格です。

向いている人・おすすめしたい人

  • 数字や計算が得意な人

    税務や会計は数字を扱う仕事が中心。簿記の知識も活用するため、数字に抵抗がない人に適しています。
  • 法律や税制に関心がある人

    税法の専門知識を活用するので、法律や税金について学ぶことが好きな方におすすめです。
  • 独立して働きたい人

    自由度の高い仕事を目指している方や、自分自身の事務所を開業したい人には非常に適しています。
  • コツコツ努力できる人

    税理士試験は科目合格制であるため、地道に学習を積み重ねることが必要です。長期間の勉強が苦にならない人に向いています。

資格取得後のキャリアパス

税理士資格を取得した後は、以下のような幅広いキャリアパスが待っています。

税理士事務所で働く

資格取得後は税理士事務所や会計事務所への勤務が一般的。クライアントワークを中心に幅広い実務経験を積みながら、独立を目指すのもおすすめです。

独立開業する

税理士資格を活かして独立し、クライアントの税務相談や書類作成を行うことが可能です。特化型(相続・医療・国際税務など)や地域密着型などで他事務所と差別化しながら、自分のペースで働ける自由な環境を実現できます。

企業内税理士として働く

企業の経理・財務部門で税務責任を担う「企業内税理士」になるキャリアパスもあります。企業の税務リスク管理や税務戦略の立案・実行を担うプロフェッショナルです。安定した給与と待遇が得られる上、経営戦略に携われることも魅力です。

税務・会計コンサルティングファームで働く

企業の成長・再編・海外展開などに伴う高度な税務ニーズに対応するプロフェッショナルとして、専門性を活かしながら価値を提供することができます。実務経験を通じて税務だけでなく経営・ファイナンス視点も習得することも魅力です。

まとめ

税理士資格は、税務分野で活躍できる国家資格であり、独占業務を持つため高い専門性と社会的需要があります。試験の難易度は高いですが、科目合格制を活用して自分のペースでチャレンジできる点が特徴です。

「税務や会計のプロになりたい」「独立して自由に働きたい」と考えている方にとって、税理士資格は非常に価値のある選択肢です。安定した収入や生涯活躍できるスキルを手に入れるために、ぜひ挑戦を検討してみてください。

この記事の監修者
松岡 宏紀の写真

松岡 宏紀

公認会計士

CPAエクセレントパートナーズ株式会社

2007年、公認会計士試験に合格。EY新日本有限責任監査法人にて、監査・アドバイザリー業務に加え、社内外での研修講師や研修プログラムの作成・管理などに従事。現在、CPAエクセレントパートナーズ株式会社において、コンテンツの作成、監修を担当。

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