米国公認管理会計士(USCMA)

管理会計と経営財務に特化した国際的なプロフェッショナル資格!
米国公認管理会計士(CMA:US Certified Management Accountant)は、経営管理会計のエキスパートを目指す人のための国際資格です。本記事では、USCMAの資格概要、試験制度、取得までに必要な期間と勉強時間数、資格取得のメリット、キャリアパスなどを解説します。
目次
資格の概要
USCMA(米国公認管理会計士)は、米国に本拠地を置くIMA(Institute of Management Accountants)が認定する国際資格で、財務分析や意思決定支援、予算管理、戦略計画など、企業の経営に直結する高度な会計スキルを証明するものです。米国ではUSCPA(米国公認会計士)と並び二大会計資格の一つに数えられ、資格取得後は主にコンサルティング業務や企業内の会計・財務・企画部門で活かすことができます。
主な特徴
- 経営管理に特化した会計資格: 財務会計とは異なり、企業内の意思決定をサポートする管理会計の分野を専門とします。
- グローバルな認知度: 世界中で認知され、管理会計分野の国際資格として高く評価されています。
- 実務重視の資格: 企業の経営戦略に直結するスキルを学べるため、実務に直結した資格となっています。
USCPA(米国公認会計士)は「財務会計」「監査」のスペシャリストですが、USCMAは主に「管理会計」「経営財務」「業績評価」「戦略的計画」など、企業経営の視点から会計を活用するプロフェッショナル資格です。そのため、戦略的意思決定や財務分析を支援する専門家として、経営者のビジネスパートナーを目指す人にとって理想的な資格です。
どのような試験制度(受験資格、受験科目、試験頻度、合格率など)
受験資格
USCMA資格を取得するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 学歴要件:
- 学士号または同等の大学教育を修了していること。
- 実務経験要件:
- 企業の財務、会計、経営管理関連分野で2年以上の実務経験が必要。
なお、学士号や実務経験がない場合も、試験には挑戦可能ですが、資格認定を受けるためにはこれらの要件を後から満たす必要があります。
受験科目
USCMA試験は以下の2科目で構成されています。
- Part 1: Financial Planning, Performance and Analytics(財務計画、業績管理、分析)
- 外部財務報告
- 計画・予算・予測
- パフォーマンス管理
- コスト管理
- 管理会計のテクノロジー
- Part 2: Strategic Financial Management(戦略的財務管理)
- 財務報告解析
- コーポレート財務
- 決定に基づく分析
- リスク管理
- 投資決定
- 管理会計のプロフェッショナル倫理
試験では、選択式問題と記述式問題が組み合わせて出題され、実践的な知識と応用力が問われます。全て英語での試験のため、TOEIC700〜800点程度の英語力が必要になります。
試験頻度
試験は年間3回(1〜2月、5〜6月、9〜10月)の間で実施され、各科目を自由なタイミングで受験できます。
合格率
USCMAの合格率は、以下のように比較的高めといえます。
- Part 1: 約50〜60%
- Part 2: 約55〜65%
合格率が50%前後であるため、計画的に学習すれば比較的合格しやすい資格です。
資格をとるのに必要な期間、勉強時間数
必要な学習期間
CMA資格を取得するまでの期間は、以下が目安になります。
- 学習期間: 1〜2年(仕事をしながら)
- フルタイムでの学習: 約6〜12か月(勉強に特化すれば)
多くの受験者は、仕事と並行しながら1.5年〜2年ほどかけて資格取得を目指します。
必要な勉強時間数
試験合格に必要な総勉強時間の目安は以下の通りです。
- Part 1: 約100〜150時間
- Part 2: 約100〜150時間
- 合計: 約200〜300時間
個人の学習ペースや基礎知識、英語の読解力によりますが、集中して取り組むことで効率よく学ぶことが可能です。
資格取得のメリット
グローバルキャリアの推進
USCMA資格は世界的な認知度がある資格であり、外資系企業や海外でのキャリアに役立ちます。
経営戦略の専門性を習得
財務計画や業績評価、分析力など、企業経営に不可欠なスキルを体系的に学び・証明できます。
収入の向上
USCMA資格保持者は、一般的に管理職レベルのポジションや高収入のポジションを得やすい傾向があります。
実務に直結したスキルの提供
会計知識だけでなく、経営管理や意思決定の支援に直結する実践的なスキルを提供します。
向いている人・おすすめしたい人
USCMA資格は、以下のような目標を持つ方に特におすすめです。
- 経営管理会計を専門としたい人: 経営の意思決定やパフォーマンス管理、戦略立案、原価管理、業績評価、予算管理、財務分析など、「企業を運営する側」で活躍する会計専門職で役に立つ資格です。決算書作成だけでなく、事業成長や経営判断に直接関わる力が身につきます。
- 財務や経営管理分野でのキャリアを目指す人: 企業の管理職や経営企画、FP&A(財務計画分析)、CFO(最高財務責任者)などを目指す場合にも役立ちます。経理職から経営企画・管理会計部門へのキャリアパス転換や、経営層への昇進にも有効です。
- 国際的なキャリアに興味がある人: 米国IMAが認定する国際資格であり、外資系企業や海外進出企業、多国籍企業での信頼性・評価が高いです。世界中で通じるため、キャリアの国際展開や転職に強いです。
- 公認会計士や税理士資格保持者: 公認会計士は外部監査や税務が中心ですが、USCMAは「経営の最前線で活躍する管理会計のエキスパート」という位置づけです。企業内で経営判断や事業計画、パフォーマンス分析に携わりたい人には強みになります。
資格取得後のキャリアパス
USCMA資格保持者には、以下のような幅広いキャリアパスがあります。
経理・財務部門の管理職/リーダー
経理・財務部門のチームリーダー、マネジャー、管理職(部長・グループリーダー)などに昇進し、特に「管理会計」「予実管理」「コスト分析」「経営分析」分野のプロとして活躍することができます。
FP&A(財務計画・分析)担当/マネージャー
FP&A(Financial Planning & Analysis)部門で予算編成、業績管理、KPI管理、経営層へのレポーティングなどの責任者になるキャリアもあります。多国籍企業や外資系で重要視されるポジションです。
経営企画・事業管理
中期計画立案、経営指標設定、戦略分析、全社予算統制等を担当し、会社の中枢ポジションで事業推進の役割を担うことも考えられます。
海外子会社・海外拠点の管理部門責任者
グローバルメーカーや商社の海外支社・工場等で「管理部門責任者」「CFO補佐」「海外管理部長」等になるキャリアです。英語力と国際会計・管理会計知識を活かし海外キャリアの入り口にもなります。
CFO(最高財務責任者)や経営幹部候補
USCMA取得は戦略財務や管理会計に明るい“経営視点”をアピールできる強みになるため、将来的にCFOや財務本部長、経営執行役員等へのキャリアパスも視野にはいります。
経営コンサルタント(特に管理会計・経営管理領域)
コンサルティングファームの「会計・経営管理領域」の専門家(アナリストやシニアコンサルタント、マネージャー等)として事業再生、原価管理改革、業績評価制度設計、ERP導入支援等の実務にも強みを発揮します。
IT・DX推進部門の管理会計スペシャリスト
ERP・会計システム導入、データ活用による業績管理プロジェクト、デジタル経営改革の担当者・リーダーとしても活躍できます。
まとめ
USCMA(Certified Management Accountant)は、経営管理会計分野の国際資格として非常に価値が高く、財務分析や経営戦略の専門性を証明します。仕事と学習を両立しながら取得可能で、外資系企業や国際的な場面でのキャリアにも役立つ強力な証明です。
企業内での意思決定支援や業績評価に携わりたい方、グローバルなキャリアを目指す方は、ぜひCMA資格に挑戦してみてください!
松岡 宏紀
公認会計士
CPAエクセレントパートナーズ株式会社
2007年、公認会計士試験に合格。EY新日本有限責任監査法人にて、監査・アドバイザリー業務に加え、社内外での研修講師や研修プログラムの作成・管理などに従事。現在、CPAエクセレントパートナーズ株式会社において、コンテンツの作成、監修を担当。