商業簿記ってなに?工業簿記との違いや資格試験での出題についても解説!

商業簿記とよく比較されるのが、工業簿記です。ただし、商業簿記と工業簿記の違いが分からない方も多いのではないでしょうか?

本記事では、商業簿記について工業簿記と比較しながら解説します。また、各試験での商業簿記と工業簿記の出題有無も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

また、以下の記事では商業簿記、工業簿記の根幹となる複式簿記の歴史について解説しています。ご興味のある方は是非一読ください。
複式簿記の歴史を紹介!複式簿記が広まった理由や株式会社との関係性も解説

1.商業簿記と工業簿記は代表的な簿記の種類

簿記の中でも代表的なものが商業簿記と工業簿記です。実は、商業簿記や工業簿記の他にも銀行簿記や建設業簿記、農業簿記といった特定の職種で使われる簿記も存在します。ただし、これらを実務で利用する業種はかなり限定されているため、簿記の一般的な試験では商業簿記と工業簿記が出題されます。

商業簿記とは

商業簿記は一般的な企業や店舗などで幅広く利用される会計処理方法です。「簿記」と言えば通常は商業簿記を指します。70円で仕入れた商品を100円で売るなどの単純な商取引を記録するための会計処理方法で、簿記の基礎となります。工業簿記や銀行簿記などを扱う方も、まずは商業簿記を抑えておくべきでしょう。

商業簿記を使用する業種

製造業や建設業などの特殊な業種を除き、一般的な企業で幅広く利用されています。

工業簿記とは

工業簿記は、製造業を営む企業が主に利用する会計処理方法です。製造業では、商品を70円で仕入れて100円で売るといった単純なビジネスモデルと異なり、製品を自社で製造して顧客に販売します。そのため、製品を製造するのにコストがいくらかかったかの計算が必要です。この計算を「原価計算」と呼び、工業簿記では原価計算が求められます。

「原価計算」ができることで、他社や自社内の他工場と比較してどの程度利益が出ているかを比較したり、コストの削減をどのようにするべきか戦略を立てることが可能です。

工業簿記を使用する業種

工業簿記を利用するのは主に製造業者です。

2.商業簿記と工業簿記の違い

商業簿記と工業簿記の違いを解説します。

対象業種

工業簿記は製造業者を主に対象にしていますが、商業簿記では製造業者や建設業者以外の一般的な企業や店舗などの多くの企業を対象としています。

計算期間

商業簿記と工業簿記は、どちらも会計期間を1年として損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成します。ただし、工業簿記では会計期間とは別に1ヶ月単位で原価計算期間を設けています。これは、製造した製品の原価が1年間わからなければ、適切な価格設定が出来ないためです。

勘定科目

仕訳や財務諸表作成時には、「売上」や「売掛金」、「給与」などの勘定科目を用います。製造業は自社で製造を行うため、工業簿記には商業簿記で利用しない特殊な勘定科目が存在します。工業簿記でのみ利用する勘定科目の例は以下の通りです。

・仕掛品

・製品

・材料

・労務費

・製造間接費

3.簿記の試験は3種類

簿記の代表的な試験は以下の3種類です。

・日商簿記検定(日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験)

・全商簿記検定(全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験)

・全経簿記検定(簿記能力検定試験)

それぞれの試験の特徴と、商業簿記や工業簿記の出題有無、難易度を解説します。

日商簿記検定

日商簿記検定は、3つの簿記検定の中で最も有名な検定です。一般に簿記の試験と言えば、日商簿記検定を指し、2021年の受験者数は60万人を上回っています。

日商簿記検定初級

日商簿記検定初級は、簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解する試験です。商業簿記や工業簿記という棲み分けはなく、簿記の基本原理などを学びます。出題範囲は以下の通りです。

1.簿記の基本原理

2.期中取引の処理

3.月次の集計

内容は基本的なものとなっており、2021年度の合格率は64.2%とかなり高いです。

https://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2018/01/h30bokishokyu.pdf

日商簿記検定3級

日商簿記検定3級は、商業簿記が出題されます。合格には、商業簿記の基礎的な知識が求められます。出題範囲は以下の通りです。

~商業簿記・会計学~

1.簿記の基本原理

2.諸取引の処理

3.決算

4.株式会社会計

日商簿記検定3級では、工業簿記からの出題はありません。2021年度のネット試験の合格率は41.0%となっており比較的高い水準です。

日商簿記検定2級

日商簿記検定2級では、商業簿記の踏み込んだ内容に加え、工業簿記も出題範囲に加わります。出題範囲は以下の通りです。

~商業簿記・会計学~

1.簿記の基本原理

2.諸取引の処理

3.決算

4.株式会社会計

5.本支店会計

6.連携会計

~工業簿記・原価計算~

1.工業簿記の本質

2.原価

3.原価計算

4.工業簿記の構造

5.材料費計算

6.労務費計算

7.経費計算

8.製造間接費計算

9.部門費計算

10.個別原価計算

11.総合原価計算

12.標準原価計算

13.原価・営業量・利益関係の分析

14.原価予測の方法

15.直接原価計算

16.製品の受払い

17.営業費計算

日商簿記検定2級では工業簿記が出題範囲に加わることから、勉強する範囲が増えます。2021年度のネット試験合格率は38.1%です。

日商簿記検定1級

日商簿記検定1級は、難易度が高く出題範囲が広く応用問題も出題されることから、かなりの勉強が必要です。2級同様に商業簿記と工業簿記から出題され、出題範囲は以下の通りです。

~商業簿記・会計学~

1.簿記の基本原理

2.諸取引の処理

3.決算

4.株式会社会計

5.本支店会計

6.連携会計

7.会計基準および企業会計に関する法令等

~工業簿記・原価計算~

1.工業簿記の本質

2.原価

3.原価計算

4.工業簿記の構造

5.材料費計算

6.労務費計算

7.経費計算

8.製造間接費計算

9.部門費計算

10.個別原価計算

11.総合原価計算

12.標準原価計算

13.原価・営業量・利益関係の分析

14.原価予測の方法

15.直接原価計算

16.製品の受払い

17.営業費計算

18.工場会計の独立

日商簿記検定1級の合格率は約10%となっており、3級・2級と比較してもとても低い合格率です。

全商簿記検定

全商簿記検定の正式名称は「全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験」です。名前の通り、受験生のほとんどが商業高校の生徒となります。本試験は、商業高校で使用される教科書に基づいて作成されているため、商業高校での勉強の成果を確認するための試験です。1級~3級の試験が用意されており、1級合格が大学への推薦入試の推薦基準であることが多いため、1級合格を目指す商業高校の生徒が多くいます。

3級と2級では商業簿記が出題範囲となっており、1級では会計(商業簿記)と原価(工業簿記)の試験が別々に行われます。令和3年度の各級の合格率は以下の通りです。

全商簿記検定3級:59.52%

全商簿記検定2級:56.16%

全商簿記検定1級(会計):40.77%

全商簿記検定1級(原価):47.88%

全商簿記検定は商業高校の生徒が受験しているため、一般受験者を対象としている日商簿記検定と比較はできません。しかし、全商簿記検定1級の合格率はかなり高いため、日商簿記検定1級と比べて比較的容易な試験だと言えます。

全経簿記検定

全経簿記検定の正式名称は「簿記能力検定」です。会計の専門学校や高等専修学校などが加盟する全国経理教育協会が主催していて、内閣府の公益事業に認定されています。

受験者の多くが専門学校や高等専修学校の生徒ですが、一般の方も受験可能です。

3級は商業簿記のみが出題範囲ですが、2級以上は商業簿記と工業簿記のどちらも出題範囲です。令和4年の合格率は以下の通りとなっています。

全経簿記検定3級:67.23%

全経簿記検定2級(商業簿記):48.54%

全経簿記検定2級(工業簿記):75.36%

全経簿記検定1級(商業簿記):38.73%

全経簿記検定1級(工業簿記):59.52%

全経簿記検定上級(商業簿記・工業簿記):18.26%

上級は、合格すると税理士試験の受験資格が与えられるだけあって、難易度はかなり高いです。

以下の記事では、日商簿記・全商簿記・全経簿記の違いについて詳細に解説しています。どの簿記検定を受験しようか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
【日商簿記、全商簿記、全経簿記の違いとは?】〜ネット試験などの最新情報もご紹介します!〜

4.日商簿記検定の試験日程

日商簿記検定は、従来通り会場に集まって指定の日に紙のテストを受験する統一試験と、テストセンターで好きな日を指定してネットで受験するネット試験の2種類があります。各級の2023年の統一試験の日程とネット試験の有無は以下の通りです。

日商簿記検定初級:ネット試験のみ

日商簿記検定3級:2023//2/26(日)・2023/6/11(日)・2023/11/19(日)・ネット試験有り

日商簿記検定2級:2023/2/26(日)・2023/6/11(日)・2023/11/19(日)・ネット試験有り

日商簿記検定1級:・2023/6/11(日)・2023/11/19(日)・ネット試験無し

日商簿記検定初級~2級まではネット試験が利用できます。自分のスケジュールに合わせて受験したい方や日曜日に時間を取れない方は、ぜひネット試験を利用してみてください。ただし、ネット試験は紙試験と異なり、問題用紙に直接書き込んで問題を解くことができません。計算用紙が別で配られるため、パソコンの画面を見ながら計算用紙で計算する必要があります。ネット試験を受験する場合には、事前に対策をしてから受験しましょう。

5.まとめ

本記事では、商業簿記について解説しました。商業簿記は、多くの業種で利用する基礎的な会計処理方法です。簿記の資格を取得するためには商業簿記の理解が必須となっています。商業簿記を正しく理解し、学習を始めてみてください。

また、簿記の資格には3種類の試験がありますが、多くの方が受験する一般的な試験は日商簿記検定です。最近はネット試験の受験者が増えています。自分のスケジュールに合わせて受験可能なネット試験での受験をぜひ検討してみてください。ただし、ネット試験には対策が必要です。

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商業簿記、工業簿記に関してよくある質問

簿記3級に工業簿記の知識は必要ですか?

いいえ、必要ありません。簿記3級では商業簿記のみ問われます。しかし簿記2級では、商業簿記、工業簿記、両方の知識、理解がもとめられます。

工業簿記とは何ですか?

工業簿記は、おもに原価計算をおこないます。原価計算とは、名前の通り、ある製品の原価を計算することです。

商業簿記では、おもにどのような内容が出題されますか?

商業簿記の試験では、主に以下のような内容が出題されます。

・仕訳の作成や伝票の読み方

・総勘定元帳、試算表、損益計算書などの帳簿類の作成方法

この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

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簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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