収入印紙の勘定科目とは?それぞれの勘定科目で計上する際の仕訳方法も

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収入印紙を購入したときに、使用する勘定科目は主に2つあります。すぐに使用する場合と保管する場合で勘定科目が違うため、注意しなくてはなりません。収入印紙の勘定科目と会計処理のときに気をつけたいことなどをご紹介します。

収入印紙は、自ら使用したことがなくても、契約書や領収書に貼られているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

収入印紙はさまざまな金額があり、必要に応じた金額を選択しなくてはなりません。また、購入時の会計処理にもポイントがあります。

収入印紙を購入したときの勘定科目や仕訳方法、会計処理の注意点などをくわしく解説します。

収入印紙とは?

収入印紙とは、主に印紙税を納付するために使用する証憑です。

印紙税法では、印紙税を納めるべき20種類の課税文書が定められています。課税文書を作成するときは、収入印紙が必要です。

課税文書に記載されている金額によって、必要な印紙額が変わります。

ビジネスシーンでなじみのある課税文書は、領収書や契約書。領収書は5万円以上のものに収入印紙が必要です。

(参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」)

(参考:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」)

収入印紙は、課税文書に貼り付けて消印をすると、印紙税を納付したことになります。

収入印紙の勘定科目

収入印紙を購入したときに使用する勘定科目は「租税公課」と「貯蔵品」にわけられます。

一般的には租税公課として計上されることがほとんどですが、なぜ勘定科目をわける必要があるのか違いを見ていきましょう。

租税公課

収入印紙を購入してすぐに使用するときは、租税公課を使います。

必要なときだけに収入印紙を購入して、契約書などに貼る場合は費用計上にするのが基本です。

租税公課は、国税や地方税などの税金と、国や地方自治体から課せられる会費などに使用される費用の勘定科目です。

費用として認められない租税公課もあります。しかし、印紙税は税法上、費用(損金)として計上ができます。

貯蔵品

収入印紙をすぐに使用せず、まとめ買いをしてストックしておく場合は貯蔵品です。

原則として未使用の印紙は、貯蔵品として資産計上を行い、使用した際に費用で処理をします。

貯蔵品は、事業に直接関連する物品以外の、未使用の物品のことです。収入印紙や切手など金銭的価値があるものや、筆記用具やコピー用紙などの消耗品が該当します。

租税公課で計上する際の仕訳方法

収入印紙は1円から10万円まであり、全部で31種類あります。

また、郵便局や郵便切手類販売所で購入したときは、消費税の課税はされません。コンビニや法務局、タバコ屋は郵便切手類販売所です。

(参考:国税庁「No.6201 非課税となる取引」)

金券ショップは、収入印紙が額面よりも安く売られていることがありますが、こちらは消費税が課税されます。

すべての種類の収入印紙を購入できるのは郵便局です。金券ショップやコンビニ、法務局・タバコ屋などでも収入印紙を取り扱っています。

営業時間がある郵便局や法務局などと違い、コンビニでは24時間購入できるメリットがあります。しかし、取り扱いが200円の収入印紙のみなど、金種が少ない場所もあるため注意しましょう。

収入印紙をすぐに購入して使用するときは、租税公課で経費として処理をします。

以下で、租税公課で計上する場合の仕訳方法を、郵便局で購入したときと金券ショップで購入したときにわけて確認しましょう。

郵便局で収入印紙を購入した場合

郵便局で4,000円の収入印紙を現金で購入した場合の仕訳は以下のとおりです。

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租税公課 4,000円現金 4,000円

郵便局で収入印紙を購入したときの消費税は非課税になります。

金券ショップで収入印紙を購入した場合

金券ショップで4,000円の収入印紙を3,800円で購入し、現金で支払をした場合の仕訳は以下のとおりです。

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租税公課  3,420円
仮払消費税 380円
現金 3,800円

金券ショップで収入印紙を購入した場合は課税されるため、消費税の仕訳がプラスされます。

貯蔵品で計上する際の仕訳方法

先ほどもご紹介のとおり、ビジネスシーンでは、収入印紙をその都度購入せずにまとめ買いをしているケースも存在します。

頻繁に収入印紙を使用する場合は、何度も買いに行く手間が省けるので効率的ですよね。

貯蔵品に計上する場合、購入時にすぐに貯蔵品とする方法と、購入時は租税公課として費用計上し、決算時に未使用分の振り替えをする方法があります。

購入時に貯蔵品として計上する場合

郵便局で400円の収入印紙を現金で10枚まとめ買いをして、購入時に貯蔵品として計上する場合の仕訳は以下のとおりです。

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貯蔵品 4,000円現金 4,000円

続いて、保管していた400円の収入印紙を1枚使用したときの仕訳もチェックしておきましょう。

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租税公課 400円貯蔵品 400円

使用するたびに、貯蔵品から租税公課へ振替処理を行います。

決算時の振替仕訳はありません。

決算時に貯蔵品に振り替える場合

郵便局で400円の収入印紙を現金で10枚まとめ買いをして、購入時は租税公課として計上する場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
租税公課 4,000円現金 4,000円

最初から租税公課として計上しているので、使用したときに振替処理をする手間はありません。

期末に棚卸を行い、未使用の分を貯蔵品とします。

400円の収入印紙が3枚余っていたときに、貯蔵品とする場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
貯蔵品 1,200円租税公課 1,200円

次年度には、再び租税公課として振替処理を行ってください。その際の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
租税公課 1,200円貯蔵品 1,200円

決算時に振り替える方法は会計処理の効率化にはなります。

しかし、月別の損益を正しく計算する必要がある場合は、購入時に貯蔵品として計上し、使用した分を租税公課にするほうがいいでしょう。

収入印紙の会計処理をする際の注意点

収入印紙は換金性があり、印紙税は税務調査でも指摘されやすい部分です。

正しい会計処理を行うために、印紙税の管理は徹底しなくてはなりません。

収入印紙の会計処理をする際の注意点を抑えておきましょう。

注意点①:換金性のある資産として取り扱う

収入印紙は、金券ショップなどに持ち込み換金ができるため、資産としてしっかりと管理を行い、盗難などが起きない体制を整えなくてはいけません。

収入印紙の保管場所は施錠できる場所にしたり、取り扱いする人を限定したり、決算時だけではなく定期的な棚卸が必要です。

収入印紙の金額が大きくなるときは、稟議書や上司の承認が必要など、社内でのルールを作ることも管理には欠かせません。

とくに建設業や不動産業など、契約金額が大きい業種では、収入印紙の金額も大きくなるため注意してください。

ちなみに、課税文書は電子化すると収入印紙が不要となります。コスト削減だけではなく、購入の手間や盗難のリスクも減らすことができますよ。

注意点②:印紙受け払い簿の整備

印紙受け払い簿の作成を行いましょう。

税務調査では、貯蔵品として保管されている収入印紙の残高と、実際に未使用として残っている収入印紙の金額が一致しているか確認されることがあります。

印紙受け払い簿の提出を依頼されることもあるので、都度整備しておくと安心です。

購入時には、日時・印紙種別・枚数・金額などを記載します。

使用時には、日時・使用部署(使用者)・印紙種別・枚数・金額・使用目的などを記載するのが一般的です。

注意点③:消費税の証憑保存

消費税の正しい金額を証明するには、請求書や領収書が必要です。

先ほどご紹介のとおり、収入印紙は購入場所によって、消費税が非課税になったり、課税されたりします。

消費税の会計処理や申告処理の際は、課税区分に対応した処理を行わなくてはなりません。

とくに、消費税の仕入税額控除の適用を受けるときには、帳簿のほかに請求書や領収書などの証憑も求められるため、しっかりと保存しておきましょう。

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まとめ

課税文書には、収入印紙を貼り印紙税を納税しなくてはなりません。

収入印紙は、すぐに使用する場合は租税公課、保管しておく場合は貯蔵品と、勘定科目が変わります。

購入場所によって消費税も変わってくるため。注意しましょう。

また、収入印紙を貯蔵品として保管するときは、管理もしっかりと行わなくてはなりません。社内ルールをしっかりと決め、盗難のリスクを回避、税務調査に備えましょう。

経理業務を極めたいと思ったときは、収入印紙のように特殊な会計処理に慣れるために、簿記の知識を深めるのも大切です。

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この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

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簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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