損益分岐点比率とは?計算方法や安全余裕率との関係、活用方法も解説

電卓と損益分岐点比率の画像です

 事業を運営していくうえで、損益分岐点比率が重要だと聞いたことがあるかもしれません。

損益分岐点比率は、売上高に対する損益分岐点売上高の割合を示した比率で、会社の経営状態の把握に用いられる指標です。

損益分岐点比率を用いて、会社の経営状況を分析し、経営方針を立てるのに役立てられます。

本記事では、損益分岐点比率の具体的な計算方法や、安全余裕率とどのような係わりがあるかを詳しく解説します。

損益分岐点比率を使い、健全な事業運営に活かしてください。

また以下の記事では、簿記の学習の基本的な進め方について解説しているので、簿記の勉強を始めようとしている方・始めたての方は参考にしてみてください。
簿記検定に合格するための正しい勉強方法とは?

損益分岐点比率とは

損益分岐点比率は、会社の実際の売上高、もしくは予想売上高と、損益分岐点売上高の比率のことです。

損益分岐点売上高は、会社が利益も損失も出さない売上高です。

事業を運営するには、支出が必ずかかります。支出をちょうど回収するのに必要な売上が損益分岐点売上高です。

損益分岐点比率は、会社が出している実際の売上高と損益分岐点売上高の比率を求めたもので、会社がどれだけ利益を上げているかを表す指標です。

損益分岐点比率の計算方法

損益分岐点比率の計算式は、以下の通りです。

損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高÷実際の売上高×100

損益分岐点比率は、実際の売上高と比べた損益分岐点売上高の比率を表します。

損益分岐点売上高を実際の売上高で割り、100を掛けると得られます。

実際の売上高が損益分岐点売上高と同じ額、つまり損益分岐点比率が100%だと、会社は利益も出ていなければ損失も出ていないという状態です。

損益分岐点売上高が低ければ低いほど、もしくは実際の売上高が高ければ高いほど損益分岐点比率は100%より低くなります。

損益分岐点比率が低いほど会社は利益を上げられています。逆に損益分岐点比率が100%より高いほど、損失が出ています。

また、損益分岐点売上高は以下の計算式によって求められます。

損益分岐点売上高=固定費÷(限界利益÷売上高)

ちなみに限界利益は売上高-変動費で計算できます。

【ある会社の損益分岐点売上高が500万円で、実際の売上高が1,000万円のとき】

損益分岐点比率の計算式に当てはめると、500(万円)÷1,000(万円)×100(%)=50(%)となります。損益分岐点比率が100%よりも低いので、利益が出ているとわかります。

【ある会社の損益分岐点売上高が1,000万円で、実際の売上高が500万円のとき】

損益分岐点比率の計算式に当てはめると、1,000(万円)÷500(万円)×100(%)=200(%)となります。損益分岐点比率が100%よりも低いので、損失が出ているとわかります。

どれぐらいの売上があれば利益が出るのかは、業種や会社によってまちまちです。損益分岐点比率は、会社の経営状況を一目で把握できる数値です。

損益分岐点比率と安全余裕率の関係

損益分岐点比率とセットで知っておくべき指標に、安全余裕率があります。

安全余裕率は、実際の売上高が損益分岐点売上高をどれぐらい上回っているかを表します。

赤字に転落するまで、あとどれぐらい余裕があるかと考えるとわかりやすいでしょう。

安全余裕率の計算式は以下の通りです。

安全余裕率(%)=(実際の売上高-損益分岐点売上高)÷実際の売上高×100

【ある会社の実際の売上高が1,000万円、損益分岐点売上高が800万円のとき】

安全余裕率の計算式に当てはめると、(1,000(万円)-800(万円))÷1,000(万円)×100(%)=20(%)になります。

損失が出てしまうまで、あと20%余裕があります。

また、損益分岐点比率と安全余裕率は合計すると100%になるという点も押さえておきましょう。

今回の例では、損益分岐点比率は80%なので、安全余裕率との合計が100%になります。

損失が出ているときは、安全余裕率がマイナスになり、赤字なのが直観的にわかるので便利です。

損益分岐点比率を下げる方法

会社を経営するにあたって、損益分岐点比率は低いことが望ましいです。損益分岐点比率が低ければ、それだけ利益が出ているからです。

損益分岐点比率を下げる方法は以下の3つです。

  1. 売上高を上げる
  2. 固定費を下げる
  3. 変動費を下げる

ここでは、この3つの方法について、具体的な対策も含めて詳しく解説します。

売上高を上げる

損益分岐点比率を下げる1つ目の方法は、売上高を上げることです。

損益分岐点比率の計算式では割る数、つまり分母に実際の売上高が入るため、売上高が多くなれば損益分岐点比率も下がります。

売上が多いほど健全な事業運営になるというのはイメージしやすいでしょう。

具体的な対策としては、販売単価を上げたり、集客力を高めたりすることが挙げられます。

商品の質をより高くしていくことで、販売単価を上げられます。広告を増やしたり、SNSでの発信を積極的に行ったりすることで、新規顧客を増やせるでしょう。

商品を充実させることでリピーターが増えれば、安定した高い売上高の確保につながります。

ここで注意が必要なのは、商品を充実させたり広告に力を入れたりすると、かかる費用もその分上がる恐れがあることです。

闇雲に努力した結果、売上はそこまで上がらない一方で出費だけ増えることもあります。

今よりも売上を上げるのは難しいので、しっかり戦略を立てて取り組みましょう。

固定費を下げる

損益分岐点比率を下げる2つ目の方法は、固定費を下げることです。

固定費は、売上の増減に関係なく一定額払う必要がある費用のことです。

従業員に支払う給料や、オフィスや店舗にかかる賃料や水道・光熱費、設備の減価償却費などが固定費として挙げられます。

固定費を下げられれば、費用全体の引き下げにつながるため、固定費を減らす工夫が重要です。

賃料が安い立地に事務所や店舗を移転させられれば、賃料を下げられるかもしれません。

職種によってはリモート業務を増やし、オフィスは都心から離れた場所に構えることを検討するのも良いでしょう。

業務をアウトソーシングすることで、従業員を減らせれば人件費を安く抑えられる可能性があります。

逆に外注を減らして、従業員の数は変えないまま従業員の仕事を増やすという手段もありますが、従業員の負担を増やすので注意が必要です。

固定費は一度払い始めると出費が習慣化してしまい、見直すことが少なくなりがちです。だから少しでも安くできないか、いつも注意しておくことが大切です。

変動費を下げる

損益分岐点比率を下げる3つ目の方法は、変動費を下げることです。

変動費は、固定費とは異なり、売上の増減に応じて金額が変わります。

原材料費や商品を仕入れる際の購入額は、買った量に応じて金額が増えるため変動費です。

商品を相手方に送る際の送料や、派遣社員の給料も変動費として扱われます。

固定費や変動費といった出費は、少ないほど損益分岐点は下がるため、収入を増やすと同時に出費を減らせれば損益分岐点比率を下げることにつながります。

仕入先との価格交渉を行うなど、商品や材料の価格を下げる努力をすると変動費を抑えられる可能性があります。

また、運送業者や配送の方法を見直すことで、送料を下げられるかもしれません。

複数の業者間で相見積もりを定期的に行うことで、変動費を安くすることが重要です。

ただし、変動費を無闇に下げると、商品やサービスのクオリティが下がってしまう恐れがあります

変動費を上げることで、むしろ商品の単価が上がり、売上が増える可能性もあります。

単純に変動費を下げれば良いというわけではなく、戦略的に変動費を決める必要があるでしょう。

損益分岐点比率の活用方法

損益分岐点比率は、会社の経営方針を考える上で参考になる指標です。

算出した損益分岐点比率を活用する方法は、以下の3つです。

  1.  売上低下の影響を分析する
  2. 安全性を分析する
  3. 目標利益を達成するために必要な売上高を計算できる

どれも会社の経営方針を決めるうえでとても重要なので、損益分岐点比率は大変参考になる指標です。

売上低下の影響を分析する

売上の低下の影響を分析するために、損益分岐点比率が有用です。

損益分岐点比率は損益分岐点÷実際の売上高によって求められます。よって、実際の売上高が、損益分岐点比率を下回ると赤字に転落します。

損益分岐点比率が70%だった場合、実際の売上高が70%以下になると赤字になります。

売上が下がった場合でも、元の売上高の70%、つまり低下が30%以内なら赤字にならないと分析できます。

仮に元の売上高が1,000万円で、損益分岐点比率が70%なら、1,000万円の70%である700万円以上の売上があれば黒字を維持できます。

逆に売上の低下が300万円以上ならば、会社は赤字になります。売上が低下したとき、損益分岐点比率を計算すればその低下がどれほど影響を持つかをすぐに計算できるのです。

安全性を分析する

経営状態の安全性の分析にも、損益分岐点比率は参考になります。

損益分岐点比率は100%を境に、低ければ低いほど黒字であり経営状態は良好、高ければ高いほど赤字で経営状態が悪いとされます。

損益分岐点比率は経営状態を判断するバロメーターの働きがあります

具体的には、損益分岐点比率が60%未満なら経営状態はかなり良好です。

60%から80%の間であれば、経営状態は安全水準で、景気の悪化にも比較的強い状態です。

80%から90%以内であれば一般的な経営状態であり、急な景気の悪化で赤字に転落する恐れがある水準です。

売上を上向かせたり、固定費や変動費を削減したりする方法を考えると良いでしょう。

90%から100%だと、危険水域です。一応黒字ですが、売上が少し下がっただけで赤字に転落する恐れがあります。

そして100%を超えると赤字となり、早急に経営方針を見直す必要があります。

目標利益を達成するために必要な売上高を計算できる

目標利益を達成するために、売上高がどれぐらい必要なのかを計算する際も、損益分岐点比率は有効です。

今の時点で赤字ならば、あとどれぐらい売上高を伸ばせば黒字になるのかが簡単にわかります。

現在の売上高が1,000万円で、損益分岐点比率が110%の場合、黒字に転換するためには売上高が1,000万円の110%である1,100万円以上になれば黒字にできます。

もちろん、損益分岐点比率は常に変動する数値なので、定期的に計算し経営状態を把握することが大切です。

会計業務についてはCPAラーニング

損益分岐点について学んできましたが、損益分岐点の知識を深めるうえで簿記の知識は必須となります。

そして日商簿記の学習を検討中もしくは学習中の人に、よくある悩みの一つが「独学で勉強するべきか」「資格スクールに通うべきか」という点です。どちらも以下のようなメリットがあり、決めかねているという人も多いのではないでしょうか。

独学で簿記を学習するメリット

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まとめ

損益分岐点比率について、計算方法や安全余裕率との関係、事業運営への活用方法を解説しました。

損益分岐点比率は損失も利益も出ていない売上高である損益分岐点売上高と比べて、実際の売上高がどれぐらいの比率になっているかを表す指標です。

100%だと損失も利益も出ていない状態で、100%より低いほど黒字が、高いほど赤字が出ているとわかります。

安全余裕率は、実際の売上高が損益分岐点売上高をどれぐらい上回っているかを表します。

安全余裕率が20%だと、実際の売上高が20%分減っても黒字を維持できることを意味します。

損益分岐点比率と安全余裕率は足すと100%になる性質があることも押さえておきましょう。

健全な事業運営には、損益分岐点比率を下げることが重要です。売上高を増やし、固定費や変動費を減らすことで損益分岐点比率を下げられます。

損益分岐点比率を用いることで、企業がどれぐらい安全かや、売上高をどれぐらい増やせば目標を達成できるかといった分析ができます。

損益分岐点比率を効果的に活用し、企業経営に役立ててください。

この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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